第3話 人気者とお菓子のおまけ
「トウカ様はどんな魔法が使えるのですか?」
「魔法はあんまり得意じゃなくて少ししか使えないよ」
「まあトウカは魔法なんか使わなくても拳一つで最強だからな! めんどくさい魔法なんか苦労して使うことは無いわな!」
「アンタ今魔法を馬鹿にしたの!?」
入学早々、どうやらトウカはクラス中の人気者になったみたいだ。 周りには沢山の同級生が集まって談笑している。
「対してお前は彼女のおまけって訳か」
「…俺をあんまりいじめないでくれ」
青髪の同級生が俺をニヤけながら煽ってくる。
コイツの名前はアレックス・ザノバ。 何故か一番のトウカより二番目の俺に興味を持ったみたいで昨日の模擬戦の後から付き纏ってくる。
ちなみにこの王国の第三王子らしい。
「それにしても流石規格外。 アイツの周りにいるのは十六代目【聖女】のソフィア・グランデ、【剣聖】の異名を持つアスタ・ザルバルト、【魔法の申し子】カテリーナ・ルーナ。 彼女らはどれも奇跡の世代と言われたこの世代における代表格達だ」
「奇跡の世代って、そんな恥ずかしい通り名で俺たちの世代は呼ばれているのかよ」
「ちなみにそいつらを片手間に倒したトウカさんは【鬼人】と呼ばれていて、二番手のお前は【
「俺だけ呼ばれ方が不名誉じゃない!?」
「まあ、こんな才能の塊の世代で二番手な事は実際凄いことだと思うぜアツヤ」
奴はしたり顔で俺の頭に手をポンと置く。
「やめろ、ちっとも慰めになってねぇよ」
俺はその手を振り払い、気分転換の為に席を立つ。
「ちょっと中庭行ってくる、昼放課が終わるまでには帰るわ」
王子様の返事を聞かずに俺は歩き出す。
「……こんだけ差を見せつけられても少しも腐らないか、お前には嫌でも興味が沸くぜ」
俺は中庭でベンチに座り、昔から好きな葡萄の炭酸飲料を一気飲みする。
「生き返るわ…」
「美味しそうな飲みっぷりだね!」
その声に反応して思わず横を見ると、そこには憎き宿敵である【鬼人】トウカさんが居た。
「何でお前が此処に居るんだ…」
「君が教室を出るのを見つけて思わずついてきちゃった!」
一切悪びれた様子もなく幼馴染はそう言い放った。
「キッショ、何でついてくるんだよ」
「酷い言い草だなぁ」
トウカは苦笑した様子で俺に対して返答する。
「……そう言えばさ、アツヤはどの科目を受けるつもりなの?」
「別に受けたいものは無いな。 適当に図書館で文献でも漁りながら今まで通り自己鍛錬でもするぐらいだ」
「そうだよね、アツヤはこの学園で学べることは余り無さそうだもんね」
コイツの言う通り、こう見えても俺はこの国で学べることは大体学んだ。 魔法以外ならそれぞれの専門分野の大物、【呪い神】や【剣神】に直接師事を受けるぐらいしか成長が見込めそうな方法は見当たらない。
「だが、流石に図書館に入り浸りも不健康だな」
更に上に自分を押し上げる為にも、速くあの魔法を完成させなければ────
「ま、魔族が襲ってきたぞ!」
何だと?
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