第11話 ば、化け物ぉぉぉぉー!
驚愕に染まっていた顔を整え、魔石を受け取る宮崎さん。
「えー......コホンッ...す、凄かったですねー...」
こちらを見る目が変わった気がする。
気の所為だろうか...
続けて、同様に、驚愕に顔を染めていた冷雹さんも
「す、凄いわね」なんて溢している。
:凄いで済ませていいの?これ。
:普通に人類最強クラスで草
:こーれアメカスとかブリカスにも勝てそうな強さですねぇ...
:ワイ、同じ冒険者として格の違いを見せつけられる
:ねぇ、人?これ同じ人?
コメ欄は相変わらず称賛と驚きに染まっており、物凄い速度で下から上へとコメ欄が動いている。
「はーい、そういえば1個忠告です!神吉さんに、誹謗中傷等をすると、神吉さんからの熱っつい斬撃を喰らいますよ〜」
宮崎さんは至って真面目な表情で喋っているが、俺は初耳だ。
思わず、えっ?っと口から漏らすと、黙れ。という強い意志を感じる目線を送られる。
コメ欄もコメ欄で、
:ヒェッ
:い、いや、でも飛ぶ斬撃とか撃てない限り大丈夫でしょ...
:いや、コイツなら飛ぶ斬撃を撃ちかねんぞ
:えぇ...
なんて、悪ノリをしている。
飛ぶ斬撃...撃てない事は無いが、アレは加減が難しいから、こんな下層で使いたくは無いんだけどな...
「神吉さんなら飛ぶ斬撃をぐらい余裕ですよね」
宮崎さんがにっこり笑顔で問う。
勿論笑顔なんかに屈する筈も無────
─────屈してました。
何故でしょう?
...なんか体に嫌悪感というか、危機感を感じて反射的に撃っちゃいました。
ダンジョンに亀裂が入り、壁から砂。───正確には違うのだろうが、がパラパラと落ちてくる。
その光景にパァァァっと顔を煌めかせる宮崎さんと、少し申し訳そうな顔をしている冷雹さん。
その姿はまるで、遊園地に来た子どもとお母さん。
「な、なんだか申し訳ないわ」
冷雹さんからの一言。
その顔には諦めと申し訳無さが浮かんでおり、謝罪の意はとても伝わってくる。
「いや、全然大丈夫ですよ」
冷雹さんは全く悪くない。
どちらかと言うと、社長(笑)の尻拭いをさせられて可哀想に...
&¥&¥
コメ欄とレスリングしながら階層を上げていく。
そして、今言われて初めて知ったのだが、冒険者は基本的に防具をつけるらしい。
宮崎さんや冷雹さんも服の下に防具をつけているらしい。
...確かに、さっきからやけに金属音聞こえると思ったわ。
なんて思っていたら、あっという間に10層BOSSミノタウロスの手前まで来ていた。
「やっとここまで来ましたね」
「えぇ、心なしかいつもよりも速い気がするけれど」
女性陣は少しあがっていた息を整え、ドローンに向かって、各々の感想を言い合っている。
だが、その大部分が俺への悪口な気がしてならない。
「あの人バケモンじゃないですか?」とか、「彼、人じゃないわ」とか。
酷い言い草だと思うんです。
あんなもん頑張れば誰でも出来るのに...
だが、いちいち文句を言ってもキリがない気がしてきたので、口を閉じ、懐の刀を弄る。
そうすると、彼女たちは俺を呼んで来た。
どうやら配信を終える様だ。
「じゃあ今回はここまで!高評価等々お願いします!」
「次回もよろしく頼むわ」
2人が終わりの挨拶をすると、宮崎さんが脇腹を肘でコツンとついてくる。
きっとお前も終わりの挨拶をしろ、と言いたいのだろう。
「あ、ありがとうございました!これからもご視聴...?お願いします!」
少し戸惑いながらではあるが、初めてにしては上出来だろう。
少しの間手を振ると、宮崎さんがドローンに近づいて、配信を切る。
配信を始めた時と同じような電子音がダンジョン内になり響くと、コメ欄が消える。
配信終了が確認されると、冷雹さんは大きく息を吐き、安堵の表情を浮かべる。
「ま、ミノタウロスは3人じゃ勝てませんし、そろそろ切り上げましょうか」
宮崎さんの一声。
その声色にはどこか疲労の色が滲んでおり、冷雹さんと似た感じになっている。
「?1人でも勝てますよ?」
彼は、彼女らの疲労に気づくことなく、思ったことをそのまま口に出してしまう。
彼も疲れている、ということだろうか。
「うん、そうです────ね!?」
もう何度目かもわからない驚愕の声がダンジョン内に木霊する。
冷雹さんに至っては、ジト目で『もう驚かないわよ』と伝えてくる。
「え、いや。だって、会った時からワイバーンの魔石抱えてたじゃないですか」
その時確かに自分はソロ。と伝えたはず。
ならミノタウロス単騎攻略如きで驚いていては、この先どうなるか分かったもんじゃない。
「あ、あ!」
どうやら思い出した様だ。
数日前の出来事を忘れるって...俺と同じ歳のせいかな?
だが、流石に女性に歳を聞くのは禁句だと知っているので、口には出さない。
「じゃあいつも通りのミノタウロス単騎攻略、頑張りますか!」
入れる必要の無い元気を入れ、コンビニに行く感覚でミノタウロス単騎攻略に赴く。
結局、いつも通りのダンジョン攻略になりそうだ。
─────────
投稿が遅れてしまって申し訳ないです!
ちょっとリアルで諸々あって...(溜まりに溜まった課題とか...)
あと一二週間乗り切ったら元の投稿スピードに戻ると思うのでよろしくお願いします!
《誤字脱字の指摘お願いします...》
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