感想24『変革の剣神ー欠落の剣士は救世主ー』 黒猫大和さま

■こんにちは天音朝陽です。


→多くの痛みを抱えているだろう人々が耐え忍び、それでも手を取り合ってよりよい国にしていく。それが俺が創ろうとしている国だッ!!!


『変革の剣神ー欠落の剣士は救世主ー』

*2023/12/20時表記タイトルは <変革の剣神ー欠落の剣士は救世主ー 本編完結、番外編のリクエストを募集しています。>

作者 黒猫大和さま

https://kakuyomu.jp/works/16817330664560607362


★一話ずつよめばダイナミックアクション、通して読めば壮大なダークファンタジー

★壮大なテーマを内包している物語

★(小声)エロ


『変革の剣神』全編を通しての感想となります。

ただ、この『変革の剣神』全編も三部作の二部目になるとのことで、一部と三部を読み終えると感想はガラリと変わると思います。


1 まず、このお話が三部作の中間に位置する二部目として読むと、感想として

黒く大きく歪んだ、ねじ曲がったものの存在を奥底に感じます。このねじ曲がったものの『もの』というのは、者でも物でも存在でもなく 意図や意識 みたいなものですね。


今作品の中にも一部や三部とのつながりであろうと予想できる描画が所々にある(花の妖精さんの話とか)のですが、そこを読んだ感想が上記であると説明しておきます。



2 次に、このお話を三部作とは切り離して、独立したひとつの物語として考えると、壮大な英雄の活躍劇(冒険譚ではなく)だったという感想になります。


冒頭に貼り付けました、作品中の主人公が終盤に放つひとこと「多くの痛みを抱えているだろう人々が耐え忍び、それでも手を取り合ってよりよい国にしていく。それが俺が創ろうとしている国だッ!!!」


ここが作品のテーマとして冒頭からエンディングまで見事に貫かれています。

(途中ではテーマも一部に親子愛みたいなものも感じます)

さらに、この考えが当初からの主人公の意図ではないというのも、面白いところです。


ここで、どこかで聞いたことのあるようなありきたりの意見を書くのも、なんなのですが、小説(小説だけではないのですが)には

・表面的なストーリー 

・裏側にあるテーマ

が、あります。

みごとに『変革の剣神ー欠落の剣士は救世主ー』はこのふたつを併せ持っている作品と言えます。


このテーマというものは、裏側にある存在というにしては、そのなかにも「浅いもの」から「深いもの」があるんですけれど、『変革の剣神ー欠落の剣士は救世主ー』は実に深いものがあり作者である黒猫大和さんの、生い立ちから哲学、普段の思考が実に生き生きと乗っているように思います。

変な話ですが、暗い部分も生き生きと乗っている不思議な文章です。


ズレますが、実力のある物書きさんは「深いテーマ」で作品を書ける実力を有しつつも、「浅いテーマ」で作品を書くことが出来るようです。カクヨムでもほんの数名お見かけしたことがあり、すごいな!と感動しました。

とうぜんですが、私はそんなのは書けません。


ズレましたが、20~30年近くのかなりの時間軸と大陸規模の空間スケールを用いた物語を書き通すには、小説を書いている人には分かると思いますが相当なエネルギーを用いると思います。

作者さんの作品に向き合う姿勢には尊敬します。



重いか軽いか?


これも、私の感想企画でよく書く感想です。ここを書いていきたいと思います。


まず作品のテーマとしては、とことんなまでに重いです。ただこれは読み手によって重みの受け取りかたが違ってくると思います。

単純に冒険ものとして読めば、軽くて楽しいんですね。私自身もそう読もうと思って読めば実にコーヒー片手に気軽に読める。


一話ずつを毎日読めば、軽いお話に感じます。

まとめて一気に読めば、ものすごい分厚い物語に感じます。

今回時間がありましたので、両方試しました。


で、どちらの読み方にも適しているなと思います。

(個人的には、深み厚みを味わって欲しいので、まとめ読み推奨ですが)


なぜそうなるか?というと、単純に軽い文体と物語構成の力だと思います。

意識してやっていらっしゃるのかはわかりませんが、作中に登場人物の視点ではない作者の視点的な文章が入るんですね(これ、何人称なんとかかんとか っていうんですけど正式名称忘れました)。

この力が大きい。


軽い話に、どこまでも踏み込んでも足がとどかない深みを、隠しもたせる。

重い話に、足を引っ張らないような軽さを与えておく。


まあ、結構難しい技術です。

私は、出来ませんが、出来るようになりたいものです。


物語の感想


たいがい感想というと、このような物語の感想をかくべきところなのですが、作品によっては上記のように第一の感想が「物語そのものではない」場合があります。

意外と多いです。


単純に読者視点での物語の感想としては

・主人公とヒロインの食い違いが面白い

・バトルシーンの面白さ

・個人的に敵の親玉役の黒神が好き

・オリジナリティあふれる世界設定

・エロ

が主要な感想となります。

以下に詳しく。

主人公とヒロインの食い違い


自分の為に無理をしてほしくないヒロインと、ヒロインのためなら命も惜しくない主人公。

さらにこの二人は世界や他人に対する価値観が根本的に違うのですが、感情的に心を掴まれてしまう所がある。

こういった所が私個人的には刺さるものがありました。


バトルシーン


ここは、いかにも最近のWeb小説のノリで描写されている感じです。

『最近の~』と言っていますが、私は最近のも昔のも 良ければ良い という考えですので悪い意味で言っているのではないとご了承下さい。


個人VS個人の戦いもあれば、主人公の仲間たちを含めた戦争物もありです。

主人公が無双的に強いんですが、たまにピンチになるバランスもなかなかに面白いですね。


個人的に敵の親玉役の黒神が好き


ビジュアルの良いイラストもあってイメージしやすいんですが、個人的なイメージとしては(世代が違うとまったく知らない人がいると思いますが)幽遊白書の黄泉がもうすこしマッチョになった感じです。

めっちゃ強いんだけど、頭が良い、そして憂いを感じる。そんな悪役ですね、好きですね。

頭の良さにしても、小さい範囲の戦術の用い方ではなく、思想をふくめての時間軸や空間軸を大きくとった戦い方が非常にアッパレな敵役でした。


オリジナリティあふれる世界設定


世界樹や巨竜や和風っぽい国というテンプレ的なものなのですが、かなり個性的に表現されています。


エロ


個人的に私とは違う感じの表現ですが、オリジナリティあふれるもので実に好きです。

一応今回は紳士っぽく通したいのでエロについては、触れたいのですが触れずに通り過ぎたいとおもいますが、疑似〇〇〇のアイデアは非常に斬新でした。


あと男の娘リーベのエロシーンを勝手に期待していたのですが、


では、今回はこんな感じになります。


とてつもないポテンシャルを感じる作家さんなので、目先の評価に惑わされずコツコツと実力を蓄えていってほしいなと思います。

十年後二十年後に壮大な作品を創ってもらえたら嬉しいですね。


(って、自分も頑張ります)


■追記欄

黒神の過去については、非常に納得のいくものでした。これだけでひとつの番外編が書ける内容だと思います。ただ、そこを書くのは創作者としては辛いものがあると思います。

それだけの過去の重みを背負うに足る人物と感じます。

作中では一番好きですね。


黒神を他の敵と比較すると

格の違いが感じられますね。それは言葉遣いや戦闘時の行動や、思考に基づいての戦略や大きなものを思う気持ちなど、器の大きさというものを感じます。

あと、名付け方やイラストがあったのもよかったのかもしれません。

たとえばありきたりなカタカナ名だったらもう少し印象が薄くなったと思います。イラストについては賛否両論ありますが、私的にはイメージ通りで良かったです。

ですので、死んでしまったのは残念でなりません。


好きなキャラランキング書いてなかったですね。

1位 黒神

2位 守天 分厚くて強そう、仁義にも厚そうなイメージ

3位 ヴィンデ 個人的な性癖

4位 リーベ  単に男の娘というだけで4位。

5位 ゴリラ イラストを見たらそのまんまゴリラで心を奪われた


このような感じです。

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