感想21『鏡像世界のラプラス』 八橋こむぎ様

 ■こんにちは、天音朝陽です


 これは読書ではない、GAME PLAYしている感覚にちかい


『鏡像世界のラプラス』

 作者 八橋こむぎ 様

 https://kakuyomu.jp/works/16817330666853577371


 *感想を書く上で多少のストーリーのネタバレがあります


 ★これは読書ではない、GAME PLAYしている感覚にちかい

 ★単純に面白い、昭和生まれの私には新鮮な面白さ

 ★個人的には、ある程度まとめて読むのをおすすめします


 ■

 伝えたい第一感想


 ストレートに「いやあ、面白かったね」という感じです。

 最初の出だしが、記憶喪失~病院脱出~戦闘というシリアスぽい感じ、さらにタイトルに『ラプラス』とありましたのでホラーというか、そういうミステリアスな描写の物語かと思いましたが、現在のところ そうではありませんでした。


 物語(ストーリー)全体の創作物としての感想は王道ぽくもありつつ、どこか吹き飛んだ感覚もあり、個人の感想としては「こういうのっていいよね」と思います。


 で、毎度のごとく「いやあ、面白かったね」で終わっては感想業を営むものとして失格ですので、何故おもしろかったのか・何がおもしろかったのか?解説します。


 □

 全く新しい文体


 これですね。

 いや、本当の意味で『全く新しい文体』であるか? は分かりません。私は、積極的に若者が書いた文章を読みに行くタイプの人間ではありませんから、本当に新しいのかは分かりません(ひょっとしたら、すでに普通なのかも……)。

 しかし、この『鏡像世界のラプラス』の文体は 私が生まれて初めて目にする文体 でした。


 昭和生まれの私にとって小説とは

 ・雪が地面から舞い上がる。狼は、俺の頭上にいた。柔らかい腹が見えたのは一瞬だけだった。その一瞬に体が反応していた。短刀を突き上げ、刺さる感触。同時にさらに力を込めて押し上げた。

 みたいな感じなのです、が。


『鏡像世界のラプラス』では、以下のような感じです。



(引用ここから)

 マトゥス

「いかん!」

 ホット

「……3……2……1……」


 ドゴォォォン……!!!!


 その日、エルフの森は消滅した。

(引用ここまで)




 飲んでいたカフェラテを吹きましたよ。

 いやいやいやいやいや、

『ドゴォォォン』の一文でエルフの森は消滅するのかーーーーーーっ!


 ―――爆炎があがり視界は一瞬だが黒と赤の世界となり、遅れて轟音が聞こえて来たのだった。

 くらい書きたくなるのよ私みたいな中年は!!!

それを、ドゴォォォンですか!

 と、思いました。


 ですけどね、上記のドゴォォォンで、しっかりと意味は通じます。さらに全体をとおして上記のような描写ですから違和感は当然ありません。

 上記引用『だけ』みると軽く薄い(←失礼な中年老害の意見)んですけど、それで十分に描写されていますし、十分に面白いです。


つまり、私の脳内に物語映像を描かせるだけの情報は描写してあるのです。


 良い小説というものの定義は何か分かりませんが、もし そのひとつに【読者を楽しませる】というものがあるとすれば、十分に今回の作品『鏡像世界のラプラス』は良い小説だと私は言います。


 とにかく、この文体。

「フレンドリー」で「軽く」「読みやすく」「それでいて状況の説明はなされている」描写は真似したいものです。


 私もこのような文体でひとつの物語を描き切ってみたい! 

 さすればこの我を呪縛する昭和の思考から解き放たれるやもしれぬ……ぐふっ

 そう思わせるものがありました。


 □

 思考の柔軟性、アイデアの独自性、新鮮さ


 どれをとっても秀逸です。

「あ、このアイデアは良いな」

「あ、このキャラ独自性高い」

「これはオリジナリティがあるな」

 と、メモを取りながら物語を読み進めましたが、メモが一杯一杯になりまして、何をこの投稿に書こうか非常に悩まされております。


 これは、物語の感想ではなくて、作品に触れた私の創作者としての感想になるのですが

【創作に関して、思考を自分の思い込みで凝りかためてはならない。新しいものはどこかで生み出されている、それを見つけ自分の刺激として取り入れなければならない】

 と強く思いました。


 小説とは、凝り固まった昭和の遺物のような文章を用いて読者を楽しませるものではなく、

 読者が理解できる(体にスッと取り入れられる・もしくは取り入れるのが困難でも取り入れれば栄養になる)文章で最大限に楽しんでもらうものだよな、と考えさせられました。

 はい、自戒です。


 追記・明治、大正、昭和初期の文章は過去の遺物みたいに見えるものですが 逆に一回りして新鮮です。文豪たちの書いた作品は実に味わいがあるものです。

 たしかに、夏目漱石たちが蘇ってカクヨムに投稿しても人気はとれないでしょうが、作品を読んで得られるものは読者としても、創作者としても大きいものがあると思います


 ■

 すみません、シリアス方向へ話が飛びました。


 感想として私がすごい!と思ったものの上位を書いていきます。


 □

 キャラの登場パターンが独特

 これですね、訪問者の方に、この作品のキャラの登場の仕方の説明は非常にむずかしいです。中年の老害である私には、えっ?こんな手法があったのか!という驚きしかありません。

 ??? なんだ君は!→登場 名称確定 みたいな……、

 これは、どう表現すればいいのか分かりません。


 私も、いつかパクって真似したいものですね。


 □

 印象に残った回


 第10話の戦闘

 使用者の魔力によって魔法の威力が決まる。


 これは私達の世代では有名な「今のはメラゾーマではない、メラだ」のオマージュでしょうか?

 という表現が、文体・キャラ・世界観にマッチしてとても面白かったですね。


 □

 第6話は面白い


 この回で敵側の上位者が紹介されるのですが、個人的に意味不明なまでに面白い。

 なにが面白いのかわからないのですが、個人的にツボでしたね。

 爆笑するわけでもないですが、クククッとなる笑いよりははるかに強い。しかし腹筋がつるほどガツンとくるかというとそこまではいかない。

 まさに絶妙。


 何が面白いのか、一晩必死に考えました(読み終えた日に感想を投稿できなかったのはこれが理由です)が、おそらく『ツッコミどころ』だろうという事に落ち着きました。

 □

 ツッコミどころ


 序列第五位の悪魔 ラテ・ホット

 こいつ悪魔なのにロボットというキャラ。……もう、発想がぶっ飛びすぎて白目をむきましたね。

 いや、それ普通にただのロボットだろ!と。たとえ性格とかが悪魔だとしても、それはそうプログラムされているだけで、ただのロボットだろ!と叫んでしまいましたよ。


 それでもって、外見描写が一文もないため、私の脳内ではスターウォーズのドラム缶みたいな白いロボ(金色の人型ではないほう)をイメージしてしまい、以降コイツが登場すると鼻血がでそうになりましたよ。


 で、まあ なかなか良い働きをするんですよねコイツ、最後は「おお、スゲーぞ」ってなりましたもんね。

 名前も結局なんでラテ・ホットなのかわからずじまいの非常に味のあるキャラとして記憶にのこりました。


 いや、それにしても悪魔なのにロボって発想がすごい。

(そういえばネクロスの要塞にメカロスってロボ敵キャラがいた(中年しか知らん))

 それがありなら、天使なのにロボとか、スライムなのにロボとか、アンデットなのにロボ(そういえばネクロスの要塞のメカロスゾンビってキャラがいた)とか、ロボなのにロボとか 応用範囲が広いぞこれ……いつかパクりたい。




 いかん文字数が無駄に増えて来た。


 ■

 魅力的なキャラ


 さきほど紹介のロボ悪魔「ラテ・ホット」はじめ、敵味方に魅力的なキャラが登場します。

 その魅力は武器であったり、性格であったり、外見であったり、生き様であったり、ツッコミどころであったりする訳ですね。


 物語を読んで一番好きなキャラは 例のロボ悪魔とどちらにするか?で迷いましたが


 ・妖魔八紋 序列第八位の春鳩間霧 (はるばとまきり) ですね。

 強いし、外見描写も好きですし、武器や戦い方や性格も私好みです。


 作者さんの近況ノートにイラストが公開してあり、

 https://kakuyomu.jp/users/39176347/news/16817330667709865274

 私の脳内イメージに近くて思わず叫んでしまいました。

『黄泉』の元・三大武神とか?ほほう。


 ・二番目に好きなキャラは、例のロボ悪魔「ラテ・ホット」。こいつの体、だんだんカフェサーバーに思えてくる。


 三番目は、九城乃愛くしろのあ、『黄泉』の三大武神で九尾の狐でしょうか?外見・エピソード含め、これは単純に私の性癖で好きという、個人の感想です。


どこが新鮮で、どこが面白かったのかを書いていくとそこいらの文字数では終わりませんので、非常に残念ですがここで終わりにしたいと思います。


全く持って個人的な感想ですが、もっと私みたいな固定観念に凝り固まって身動き取れない昭和生まれの方に読んでもらいたいと思った作品です。

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