第140話 再び工房


『で、ここに来たというわけ』

「はい…」


ドワーフの工房。

物が雑多に置かれているが、

きちんと通路があるくらいには広く、

物が多少増えても構わないような空間。


「お金は払うのでどうにか…」

『金は相談次第だが、勝てる見込みはあるのか?』

「耐性装備を揃えて、

ボス戦を想定した訓練もしました」

『そうか…まあ好きにするといいさ、ただ』


ドワーフはツルハシを指さした。


『道中までついて行かせてもらう、

そしてそのツルハシで鉱石の採取もさせてもらう』

「それはまたどうして?」

『洞窟に光る鉱石があっただろう』

「ええ」

『お前さんたちが本当に火竜を倒せるんだったら、

最速で採掘できるって寸法よ』


金属加工はまだ解放されていないんだったか。

だからこそ宝箱にツルハシを置いて、

新エリア解放のアドバンテージを得させたわけだ。

思ったよりも、このツルハシの価値は高いようだ。


「岩石砂漠地帯にも着いてきますか?」

『いや、洞窟までで帰る』

「でしたら…」


最近の獅子巨人の挙動について教える。


『なるほど、橋の反対側に行けばいいわけだな』

「はい」

『今日中に出発するのか?』

「ええ、荷物を預けたら行くつもりでした」

『分かった、少し待ってくれ』


ドワーフは積まれた物の中から、

背嚢と木槌を取り出した。


『準備が出来た』

「それだけでいいんですか?」

『ああ、いつでも遠出ができるよう一式揃えてある、

背嚢にツルハシを刺してくれ』

「どうぞ」

『よし、では行こう』


工房に鍵をかけ、正門に向かう。


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