第139話 再び道具屋


道具屋。

以前雑嚢と、

結局使わなかった飴を買った婆が店主の店。


「いらっしゃい」


相変わらず毒消しの類は売り切れている。

薬草は丁度店員が並べているところだった。

並び終えたところで即座に十枚ほど取る。

その直後に客が棚に殺到し、

あっという間に空となってしまった。

イベントの難易度が露見し、

準備を重ねるプレイヤーが増えた結果か。

火傷を治療する薬も探したが、

やはり売り切れている。

運営がこの現状を見越して、

エリア解放に踏み切った気さえしてくる。


「コレ」


桃子猫が水筒を持ってきた。


「確かに…砂漠なら予備も必要かもしれませんね」


各々持って店主に話しかける。


「また飴いる?」

「いりませーん」



換金した。薬草買った。

水筒買った。食料買った。

装備を整えた。

あとは余計な荷物を減らしたいところだが。


「このツルハシどうしましょう」

「サァ…」


歩いている間ずっと注目を集め、

その重さにも難儀していたこのツルハシ。

戦闘になればより邪魔になるだろう。

だが置き場所にどうにもあてがない。

どこかに広い部屋を持っている、

物を置かせてくれそうな知り合い…。


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