第138話 獅子巨人の回顧


『ピュ』

『バチュッ』

『ゴッ』


真横の壁が爆発する。

桃子猫の盾が矢を完全に弾いた証拠。


「ヤッタ!」

「やりましたね!」


その後も続々と矢を放つ。

矢の耐久も減らないので、

回収できるのが助かった。

何度が失敗を重ねるが、

徐々に精度は上がっていく。

最終的には、

十回放って十回成功するまでに至った。


「もう完璧ですね」

「ダネ」

「あとは橋に出没するアイツですが…」


私には獅子巨人の膂力が乗った拳も、

咆哮の再現もできない。

拳を構えてみる。


「いきます」

「エ、ウン」

『バチュッ』

「…」


こうなるとは思っていたが、

後方へ思い切り吹き飛ばされた。


「ダイジョブ?」

「ええ…」


ある意味で盾の展開は、

獅子巨人の膂力と腕力でやっと

相殺できる威力なのだろう。

その力を再現できる方法は。


「片方貸してください」

「ン」


同じ物を使えば同じ力が出る、簡単なことだ。

右手同士で腕輪を嵌め、

振りかぶるように後方に向ける。


「いきますよ」

「ウン」

『『バチュッ!』』


盾は同時に展開され、

ぎりぎりのところで踏ん張って

仰け反らずにすんだ。

成功した。


「体感どうです?」

「あの時と似てル」


したらば大成功と言えるだろう。


「ただ、ランさんなら腕につけるよりも

掴んだ方がそれっぽいと思ウ」

「なるほど」


腕輪を外し、輪を取ってのようにして持つ。

そしてもう一度振りかぶり、殴りつける。


『『バチュッ!』』

「ウン、いい感じジ」


こちらとしても殴る方が仰け反りにくい。

その後も獅子巨人対策を、片手ずつ行った。


「これくらいにしますか」

「そうだネ」


ある程度の要領を掴んだら、

桃子猫なら勝手に修正してくれるだろう。

訓練場を出る。

最後に行く所は…。


「雑貨を買いましょう」

「雑貨っテ?」

「食料や回復アイテムですね、

荷物になるので最後にまとめました」

「前行ったトコ行く?」

「ええ」


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