第12話 勇者カリクの家

 勇者カリクの家。流石に豪華な作りだ。俺達四人はドアの鐘を鳴らした。


「誰だよ。俺達に用があるのか?」


 ダイキ。


「おいっす。」


 ドラゴン少女イナサ。


「おいっす。」


「お前ら!! また決闘しに来たのか?」


 カリクはうんざりしたようだった。ダイキ。


「俺達勇者カリクに相談があってさ。」


「お前らのせいでウチのパーティがどうなってるか。クソッ!! お前ら。呪ってやるからな。」


 勇者カリクの家は外は豪華だが。中は荒んでいた。パーティの女子はピリピリしていた。魔導士ミミミは呑んだくれ。剣士エレンは柱を斬っていた。ボロボロの剣がちらばる。女盗賊のファーレンは鍵開けのバイトをしていた。使えなくなった施錠を開ける仕事。みんなピリピリしていた。


 振り返ってみよう。そりゃそうだな。決闘には負けるし。ギルドトップランカーの地位も失うし。さぞ俺を憎んでるだろう。でも俺はおっさんだ。話を進める。


「で、相談ってなんだ?」


 カリクはイラついていた。俺。


「今、商売を考えててね。どうだろう?俺の訓練受けてみないか?」


「断る。」


「だろうね。」


 カリクはそっけない。だが俺はおっさんだ。前に追放され、虐められたからといって商売を投げ出す必要はない。相手をお客様と思うんだ。カリクは続ける。


「当たり前だ。」


「でも強くなれるよ。」


「お前よりもか?」


「修行の仕方次第では。」


「そんな上手い話あるか? 帰れ。」


「ちょっと話だけでも聞かないか?」


 食い下がる俺。一筋縄ではいかないか。俺はカリクを言いくるめて話を続ける。


「要は武器を持ってなかった俺にはカリクのチートスキル武器破壊が効かなかっただけだからな。」


 始まりの街の丘での決闘の話。


「俺はそれでも貴様にニ度殴られてる。」


 武器とかスキルの前にコインバニッシュでニ度殴ってる俺。


「まあまあ。倍力倍速があるじゃないですか?」


「倍力倍速を極めるのにどれだけのスキルポイントが必要なのか。知ってるのか??」


 カリクはイラつき怒っている。スキルはスキルポイントでスキルレベルを上げれば威力も強度も適応範囲も増える。勇者カリクの倍力倍速はレベル3。コインバニッシュの倍速倍力はレベル5。そういう意味ではコインバニッシュはスキルとして破格だ。


「一度倍力倍速か、スキル武器破壊をスキルポイントで全振りしてみては?」


 カリクは周りの椅子を蹴飛ばす。


「馬鹿か? 今後強くなった時にスキルポイント無くて強くなれなかったらどうするんだ??責任取れるのか??」


「レベル上げれば良いじゃないですか? レベル上げなら、ほら、俺らがついていってあげるよ?」


 そこで勇者はピクつく。こいつ、下っ端ばかりに行かせて自分達はダンジョン探索に行った事が無いな?


「よし、そうだ。ダンジョン探索のレアアイテム取れるだけ持って行っていいぞ?」


「ミミミ!! エレン!! ダンジョン行くぞ!!」


 相当冒険したかったのだろう。勇者パーティははしゃぎ出した。ホントは弱いのね。オジサン同情して泣けてきた。こうして俺達は勇者カリクの修行を行う事にした。


 俺のパーティのノノッチとファミとイナサはため息をつき、俺の頭を撫で回した。


 ニートオッサンの異世界初仕事だ!! (クエスト、ギルド、モンスター退治、ドブさらい以外)

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ダイキの異世界転生女神ノノッチとコインバニッシュで無双する 亀岡たわ太 @kameokatawata

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