第30話
(私はサリオスくんが好きだ。推しだから。サリオスくんしかいない)
私はメラニーへはっきりとそう告げた。メラニーは一瞬目を丸くするも、すぐに穏やかな笑みを浮かべる。
「そうなのね」
「はい」
「…なんだかすっきりしたかもしれない」
「?」
「よくわからないけど、何かね」
メラニーはくすっと微笑んだ。その表情からは雲一つない爽やかな青空が想起させられる。
「あの、私良い事考えたんだけどいい?」
「なんですか?」
「同盟組まない?私と」
「同盟?ですか?」
(は?同盟?)
元はメラニーとは敵対する覚悟を決めていたので、これまでの展開も相まって思わず拍子抜けした声が私の口から漏れ出てしまった。
(同盟、か…)
「例えばですがメリットみたいなの、あります?」
「ええそうね…私と一緒に「なぜこうなったのか」を突き止める、とか?それぞれ手掛かりを探すより一緒の方が共有できるし効率が良いんじゃない?」
なんともあやふやだが、手がかりを一緒に探した方が確かに共有できるというのは確かだろう。それに互いに隠し事は無い方がフェアである。
私はメラニーの申し出を一応は受け取る事に決めた。
「わかりました。では同盟組みましょう」
「ありがとう」
(ただ、この手の話すぐに信用する事は出来ない)
「互いに隠し事は無し。と約束できるならお受けします」
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