第6話

「あっ…!はあっ」


 サリオスは私の両太ももを持ち、ぐいぐいと私を犯していく。体中がほてって汗と喘ぎ声が止まらない。


「あはっ…はあんっ…」

「中、すごいな…」


 ずぷずぷっと膣内を奥までえぐるようなその様に、私は完全に溺れきっていた。


(推しとやってる…すっごい、頭が真っ白になる…)


 これまで私、久栖梨沙は非処女ではあるがエッチ自体はご無沙汰である。高校時代に彼氏とやったっきりだ。そして私と違いマーレは高級娼婦。エッチの経験に大きく差があるのは明らかだ。


(こんなに気持ち良かったっけ…?)


 薄れ行く景色の中、私の体にかかるようにサリオスの声が響いてきた。


「マーレ…ずっとこうしていたかった…」


 私は結局このまま気を失っていったのか、次に目を覚ますと窓の向こうの景色は夜明けを迎えていた。


「大丈夫か?」

「はっ!」


 私の左横で寝ていたサリオスに声をかけられ、ばちっと目を覚まして体を起こそうとするも、体中の関節にばきばきと痛みが走る。


「っ!」

「急に起き上がってはいけない。ゆっくり起きた方が良い」

「っすみません…もう一度横になります」


 私はそのままゆっくりと横になって布団に潜った。カーテン越しから入ってくる朝日は眩しく、どこからともなく雀の鳴き声も聞こえてくる。


(あっ待って。これ朝チュンじゃん)


 朝でかつ隣にサリオスがいるという事は最初に考えた朝チュンまで行きたいという目標が達成されたという事を表している。これをようやく理解出来た私は、徐々に早まる胸の鼓動を抑えるので精いっぱいだ。


「マーレ、すまんがちょっといいか?」


 ここで私を制するように、サリオスが声をかけてくる。


「すまない、そろそろここから出なければ…」

「もうそんなお時間なんですか?」

「ああ、そろそろ軍へ顔を出さないとな」

(そうか、じゃあ空腹で行かせるのもアレだし朝食か何か出しといた方がいいかな)

「何か食べるか飲むかしていかれますか?」


 私がサリオスへそう質問すると、サリオスはうーんと顎に手を乗せて十秒ほどうなる。


「じゃあ、コーヒーとサンドイッチあるか?」

「わかりました。ご用意いたします」


 その後、手早く朝食とシャワーを済ませて軍服をびしっと着直したサリオスを、娼館の玄関のドアの横まで見送った。


「ありがとう。あと、この事は内密にしてくれないか」

(チャンス!よし、いつまた会えるか分からないしここでもう一押ししたい…!)

「ええ。勿論ですわ。そしてまたおいでてくださいませんか?」

「マーレ…」


 サリオスの視線が泳ぐ。私はさらにもう一押し加えるべく彼の両手をにぎり、彼の目をぐっと見つめる。


「私はサリオス様をお慕い申し上げております。婚約破棄されてから今もお気持ちは変わりません」

「マーレ、お前は…」

「ぜひ、またお会いしましょう。サリオス様!」

(頼む、サリオスくん!会いたいと言ってくれ!)





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