第3話
「じゃあ怜央君、一緒に帰ろ?」
あれから数日、僕は春藤さんと毎日のように帰りを共にしている
芸能人顔負けの春藤さんと歩いていると視線が痛い
だがそれ以上の優越感に浸っていた
「へー!じゃた怜央君バイトしたことないんだ」
「うん、家はそこそこ裕福だし親が沢山お小遣いくれるから」
「いいなー!私親が厳しいからなぁ…」
すると少し目を伏せて目を逸らす
その目にはいつもの光が無いように見えた気がした
その姿に吃驚するとまた思い出したかのようにぱっと顔を上げて声を上げた
「そうだ!私最近いっぱいバイトしてたからお金すごい溜まってるの!一緒にどこか行こ?」
「え、ぼ、僕と…?」
「うん、嫌…かな?」
「う、ううん!僕でいいなら!」
「やったー!じゃあいつにしよっか」
すると、トントン拍子でお出かけに行くことが決定してしまった
はっきりいって、異性と出かけるなんて経験したことないし何をすればいいのか何を着ていけばいいのか、皆目見当もつかない
「じゃあ私こっちだから!また明日ー」
「ま、また明日!」
そう言って大きく手を振って綺麗な笑顔を見せる
僕も小さく手を振って帰路に着く
鴉が鳴き小学生が公園で走っている
僕もあんな風に無邪気に遊んでいたらこんな風にはならなかったのかもしれない
誰か一人でも友達を作っていれば
少しでも気さくに話しかけていれば
今頃、 僕は
「……後悔したって変わらないけど」
どうせ誰かを信じたって裏切られるのがオチなんだから
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