第4話 アルストロメリアな君へ④

「どこかで、お会いしました?」


 ハンカチの受け渡しとともに告げられた彼女の言葉に僕、桶屋風戸おけやかざとは胸の痛みを覚える。彼女、羽鳴蝶子は僕のことを覚えていなかった。


 でもそれも無理のないことなのだ。何故なら彼女は僕のことをあのから嫌っていて、僕自身もあのから少しだけ変わったから。

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