向田関吾の見解
初めまして、僕は向田関吾。
ここからは僕の最終的な見解をお話したいと思います。
……と、その前に、先に少し『小説』について感想を述べさせてください。
もちろん批判ではないのですが、少し驚いたので。
取り敢えず、最初に言いたいのは『刹那』についてです。
僕の妹そっくりの性格で非常に興味深かった。
もしかして僕の妹のことを田無先生はご存知だったのでしょうか。
それと、小説内では『刹那』から花言葉を聞いていましたが、実際僕がハナミズキの花言葉を知ったのは事件の三年後です。
僕はそれまでハナミズキのことを調べていなかったのです。
あと、もう一つ言いたいことがあります。
僕は容姿端麗ではありませんので。
そこは変に勘違いしないでください。
とても恥ずかしいので。本当にお願いします。
では、最終見解を話そうと思います。
僕が話すのはあのチャットルーム・『自殺予告』について。
僕は最終的にチャットルームの創設に関わった人間数人と接触するに至りました。
そこでわかったのは、『有田』という人物の人となり。
性格は度が付くほど自虐的で、卑屈。
ゲームが好きなのは間違いないそうですが、どんなゲームを好んで行っているかという情報は得られませんでした。
あと、それらに加えて厄介な言い回しの文章を書く癖があるという。
しかし、結局現実での正体は何者なのか最後までわからなかった。
……今回この書の話を聞くまでは。
ところで……僕は『花水木事件』を知るまで、『自殺』について深く考えてきたことがありませんでした。
世間からの関心を求めていた彼らに対して僕らが出来るのは、ただこうして言葉を残すことだけ。
今ではもう事件を模倣したような自殺者の傍に花が添えられるという事例は見られなくなりました。
誰も亡くなった彼らをもう覚えていない。
それでも、この先の未来で世界の自殺者数が減少していくことを、僕は信じて願い続けることにいたします。
さて、見解という割にあまり事件について触れなかったことを不思議に思う方もいらっしゃることでしょうが、それに関してはこちらの書の筆者である田無先生の著述にお任せしたいと思います。
僕からの推測は省かせて頂きます。そろそろ皆さんもわかってきたころだとは思いますので。
彼は僕の質問に答えませんでしたが、僕はもう確信しています。
そもそも……謝罪が多すぎるんですよ。
あと名前の由来がわかりやすすぎる。
それと、この事件はもう六年前のものです。
僕のような関係者でなければこの事件を今になって取り上げることはないでしょう。
関心を持って読み進めてきた皆さんならばもう……わかってらっしゃいますよね?
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