第8話


 見習い期間中に思ったんだ。


 どうせだったら、頼れる先輩たちの元で働きたい。


 悪魔たちとの戦闘はそこまで苦じゃないとは言え、部署によっては命を落とすこともある。


 運が悪ければ“ソルダード“と呼ばれる人型の悪魔と遭遇し、魂を喰われることだってある。


 天使の年間死者数は数十年前から増加傾向にあり、その主な原因が魔族との戦闘によるものだそうだった。


 自己修復性能があるとは言え、その回復量は個体によってばらつきがある。


 魔力が高ければ高いほど修復速度は速いが、低いものは傷が癒える前に八つ裂きにされてしまう。


 先輩からその話を聞き、震え上がってしまった。


 「天使」というワード自体は穏やかなのに、その仕事はベリーハード。


 天使を希望したことを後悔したこともある。


 とくに、魔法省にある資料館で、過去の事件とかを見ていたりすると。



 だから部署選びだけは慎重にやらなきゃいけないんだ。


 それなのに試験に落ちちゃったもんだから、昇格した際にどこに飛ばされるかわかったもんじゃない。


 とりあえずレッドブルでも飲もう。


 翼を没収されたから、空を飛ぶこともできないんだ。


 …ハァ


 ひとまず事務局から渡された課題を進めるか。



 …えーっと、なになに、1日1回のゴミ拾い?


 なんじゃこりゃ


 毎朝横断歩道に立ち、交通指導員となること?


 ふざけんなって…


 めんどくさいんだけど


 単純に。



 ブツブツ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る