tag:屍霊術師とは tag:生き残り tag:許嫁
この世界には、屍霊術師という存在がいます。
屍を操り、
それが{屍霊術師}なのです。
そんな屍霊術師ですが、実は誕生する過程は二種類あります。
それは“自然発生”と“血統発生”です。
自然発生の屍霊術師は先述の通り死系魔法に適正があったり、それを抵抗なく行使可能な精神性等の条件を生まれつき持ち合わせている場合にのみ自然となっていく屍霊術師です。
これは本当に偶然で屍霊術師としての素質を持って条件を突破しなければいけないので、絶対数が圧倒的に少ないです。
対して血統発生は、特殊な血族が代々屍霊術師としての素養を引き継いで生まれる屍霊術師です。
この特殊な血族、その名も[ネクロマンスの血族]は例外なくその血を継ぐ全員が屍霊術師であるという大変奇怪な存在なのであります。
そして相手が一般人で子を成した場合でも、[ネクロマンスの血族]は少しでも血が混ざれば子供は確実に屍霊術師になるという遺伝子の強さを持っおります。
更に[ネクロマンスの血族]は、血縁関係がある親子であっても見た目が似ないという例が多発するというこれまた奇妙な一面があります。
具体的に言えば、『子の容姿が両親に似ても似つかない』、『兄弟なのに髪色が全然違う』などの遺伝子が強く一度血が混じれば屍霊術師となるのは絶対的であるのに、体の特徴は遺伝しない事です。
そのような奇怪で奇妙な血族ですが世間はこの血族の存在を知りません。
世間様が把握しているのは自然発生した屍霊術師だけあり[ネクロマンスの血族]の事など知らないのです。
何故ならば[ネクロマンスの血族]は【屍霊の里】という隠れ集落でひっそりと暮らしており自分達の存在を秘匿しているからです。
一箇所に纏まって隠れ暮らしている理由としては[ネクロマンスの血族]が全体的に引きこもり気質である事や、外の人たちは屍霊術師の存在を好まない事を知っている事が挙げられるでしょう。
その為、[ネクロマンスの血族]の存在を認知しているのは本人達と、隣接しており協力関係にあるもう一つのとある里、まだ血族が安住の地である里を見つけておらず旅をしていた頃を誰かが書き記した古い文献を読み漁り見つけるような変人、そして〈
・・・・・しかし、ある程度説明してから言うのも何ですが。
もしかしたら[ネクロマンスの血族]も【屍霊の里】も皆様に教える必要はなかったかもしれません。
だって、既に里も血族も壊滅したのですから。
とある三人の手によって。
・・・・いえ、訂正しましょう。
[ネクロマンスの血族]にはまだ生き残りがおり、完全壊滅はしておりません。
生き残りの彼の名は[シレイ]。
里で一番偉い族長の息子であり、兄と二人の妹がいました。
隣接した協力関係の里に幼馴染の許嫁もいたそうです。
そんな彼は、生きがいを失ってしまいました。
でも死ぬのも嫌だったので、実力があるにも関わらずかなり田舎寄りでクエストも高難易度クエストが滅多にない【イズリラ】を拠点としてダラダラと生きていました。
厄ネタである屍霊術師である事は隠し、更に偽名を使い、何も変化のない楽なまま終わる緩やかに死んでいく人生を望みました。
そんなある日、彼はとある少女をギルドで見かけます。
彼の目に映った少女の名は、[ラスイ]。
[バグスライム]の魔人だそうです。
彼はとある理由で魔人が、特に弱々しい雰囲気を出している魔人が、特に特にスライム関係の魔人が大っ嫌いでした。
ですので憎悪が沸いた彼は、ラスイを騙して金を全部巻き上げました。
これは本人にとっても突発的な初めての犯行でしたが、ラスイがギルドカードを同意の元渡していたこともあり証拠は残りませんでした。
暴力に訴えず、金という人生に欠かせない今まで積み重ねてきた大切なものをターゲットにしたのは彼の性根が腐っている事を如実に示しているでしょう。
実際彼は許嫁によく言われていました。
『クズでズルするゴミ野郎』だと。
その許嫁とも里が焼き払われたあの日からもう会ってないんですけど。
その生き残りの彼ですが、憎悪の赴くままに[ラスイ]から金を騙し取った後も採集祭という行事でボロクソに叩きのめしてやろうという謎の情熱でイカサマをした結果、[クロイ]という男に弱みを握られて現在お金稼ぎに邁進中です。
屍霊術師である事がバレるのは、彼の望む平穏な人生と程遠いもの。
クロイという男が思っている以上に、屍霊術師を公表するのは彼の大弱点だったのです。
それなら採集祭で魔人を煽りたいというくだらない理由で、態々バレたくない屍霊術師の魔法でズルをしなければ良かったのに・・・・・強い魔人嫌いが災いしました。
生き残りの彼は今、護衛のクエストを受けようと先方指定位置に向かっております。
さて、[
そして彼の過去も、まだまだ秘密がありそうです。
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【とある里の長の息子と、その許嫁の会話】
「ねぇ、シレイ」
「なんだ?」
「ワタシいつか、里の外を見てみたい」
「無理だろ」
「夢がないわね」
「だってそういう血族だろ? オレ達も、オマエ達も」
「それでも、見てみたいのよ。 ワタシを何回も騙して面白がってたずる賢いアナタなら、上手い理由を考えて里の外に出れるでしょ?」
「嫌な信頼だ」
「ふふ、だってアナタ。 クズでズルするゴミ野郎じゃない。 妹への愛情をもっとワタシに向けて欲しいものだわ」
「そのクズ云々のフレーズ気に入ってんのか? ・・・・・あとオレ別に妹にそこまで愛情向けてねぇけど」
「自覚がないシスコンね」
「煽ってるのか?」
「えぇ、まだ純粋無垢だった頃のワタシにアナタが教えてくれたものね」
「やっぱ煽ってるよな」
「でもワタシ、そんなクズなアナタもそこそこ好きよ。 ダンゴムシの次ぐらいに」
「比較対象がそれか? 愛を囁くなら最後の言葉は要らねぇな」
「余計なことを意気揚々と言ってしまう癖も、アナタから移ったのよ」
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