第81話 衝撃は目を見開く
「・・・・・・・」
先生の顔が凄く暗く険しいものとなっている。
そりゃそうだ、子供を救うための金魔石がもう回収出来なくなってしまったのだから。
う、うぅ、良かれと思い謎蛇を倒そうと色々考えて実行した結果がこれ・・・・あんまりダァ!!
でもきっと一番あんまりダァと思ってるのは数日間金化していながらも罪悪感を感じ続け、しばらく(5日後)して助けが来たと思ったら最終的に自分は助かりはしたけど当初の目的が果たせなくなった先生だろう。
・・・・なんでゲートが小さくなってるんだよ!!
ゲートが通常のままで何度でも入場可能なら、まだ何とかやりようはあったかもなのに!!
だが、そもそも〔ゲート〕はダンジョンの扉でありダンジョンそのもの・・・・勝手に大きさが変動することはない。
そう、ダンジョンコアが破壊されでもしない限り、ダンジョンが崩壊してそれに伴いゲートが徐々に閉じて小さくなっていくなんてことないのだ。
そう、ダンジョンコアさえ、ダンジョンコアさえぶっ壊れなければ・・・・
「そ、そういえばさ」
テクルが気まずい雰囲気の中、ラスイの口を押さえながら俺に話しかけてきた。
え、なんでラスイは口を押さえられてんの?
・・・・・あ、空気が重いから和ます為に歌おうとしたのか。
そう言えばラスイにはそんな癖があった。
流石にこの状況で歌うのは先生に不快に思われる可能性が大きいので、テクルが押さえたようだが。
「私が動けない蛇を殴りまくってたらさ・・・・なんか右目がニュルンと飛び出て来て・・・・なんか、なんかその目が変な感じなんだよ」
語彙力が貧弱なテクルはそう言うと、スイカサイズの丸い何かをすっ・・・・と俺に差し出して来たので反射的に受け取った。
今テクル凄いグロいこと言ってた気がする・・・・目がどうとか。
・・・・え、もしかして今俺が受け取ったのって。
「今渡したそれがその右目なんだけどさ」
「ナチュラルに目玉を渡すな!! 別に魔物の死体に対しては今更嫌悪感は沸かないけど、いきなり目を単体で渡されるのは初めてだ! ビビるだろ!」
「私も目単体を持って人に渡したのは初めてだ!」
「そうか!!」
話がよく分からない方向にズレた。
一回落ち着こう。
よし、落ち着いた。
「・・・・それでだな。 私はその目がどう見てもおかしいと思うんだ」
「おかしい?」
テクルの促すまま、なんかヌメってしてて気持ち悪い目を嫌々見ると。
それは、目というより・・・・大きな金色の宝石だった。
そういえば、俺が謎蛇を初めて見た時も確か自分で『大きめな方の右目は金一色に輝いていて、まるで宝石だ』という感想を抱いていたのを今思い出した。
そして遠目に見ていた時と違い、今はその目が手元にある、
ここまで近くで見れば、本当に本物の目ではなく正に宝石であるということが判別できた。
ヌメヌメの粘液が付いているが、目の宝石自体はかなり硬く、丸いといっても全体的に角張っている球体だ。
しかし一番のこの宝石の特徴は・・・・綺麗に真っ二つになってること。
断面だって、本当の目だったら見せられない絵面になってただろうがそんなことはなく綺麗な真っ平だ。
「謎蛇殴ってそれがはみ出た時には割れてたんだ。 多分、私の攻撃の負荷で真っ二つにしちゃったんだろうな・・・・」
テクルの攻撃力が明らかに硬そうな宝石をかち割れるくらいエグいのはいつもの事。
・・・・それにしてもこれはなんだ?
普通のスフィンクスネークの目は宝石ではないはずだし、謎蛇特有の特徴か・・・?
・・・・よく見ればテクルが割ったと思われる断面の部分以外もちらほら細かいヒビが見える。
謎蛇の体内で起きた爆弾の爆破衝撃でヒビが入ったのか?
ここで俺は今までの情報をまとめる。
丁度帰る時に小さくなっていたゲート、その後も縮小し続けていたゲート、蛇の死亡、ゲートの特徴。
そう言えばダンジョンコアの特徴ってなんだっけな。
俺は自分の知識を遡る。
・・・・・あ! 確か宝石みたいな見た目だったはずだ! スイカぐらいの大きさの! 丸い! 色はダンジョンによって違うけど基本何らかの色1色!
俺は手元を見る。
そこには割れた宝石みたいで金色一色のスイカぐらいの大きさの丸いものがあった。
・・・・・・まさか?
もしかしてゲートが小さくなったのって爆発の衝撃で目の宝石・・・・いや、〔ダンジョンコア〕が傷ついたから・・・!?
そして蛇の頭が断たれて落ちるほど小さくなり始めたのは、テクルのフルボッコ攻撃で完全に割れたから・・・?
な、なんで、目がダンジョンコアになってたんだよあの蛇!!
事前情報でもダンジョンコアは普通に最奥にあって、決して魔物の一部になってるとかそんな特殊なものではなかったはずなのに!!
俺完全にわけわかめ状態になっていると、先生が突然口を開けた。
「なぁ、テクルさん。 あんたの触手金化した後切り離したらどうなった?」
・・・・・何故そんなことを聞くんだ?
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