第41話 質問は肯定を返す
パーティとは、冒険者達が組むチームのことを指す。
ギルドによる人数制限は特に決まっていないが、基本的に4人5人が理想的とされている。
ただ、パーティを組まないソロの冒険者はかなり居る。
実際俺だってラスイと出会うまではずっとソロだった。
デバフだけのやつと組むような人はいなかったし・・・自分から『パーティ組みませんか?』と見知らぬ人に話しかける胆力は無かった。
ラスイとのパーティ結成も割と勢いで言ったのだ。
そのため、真正面から堂々とパーティに入れて欲しいと言った、・・・・シクスという彼?彼女?を素直に尊敬する。
「・・・・私達っていつからパーティに入れて貰いたいって頼まれる程のパーティになった?」
「採集祭優勝したからかな・・・?」
テクルが疑問に思う通り、向こうからパーティに入れてもらいたいと頼んでくるのは割と実力と実績を持つパーティでないとあまりない事だ。
そして、あくまでも一つの街のちょっとした催しである採集祭の優勝がそれ程までの実績になるとは思えない。
だが目の前の性別不詳はそう思っては無いようだ。
「僕は採集祭優勝した時の楽しそうな御三方を見て、僕もそんな風になりたくて・・・・お願いっす! 僕をパーティに入れてくださいっす!!」
そりゃあテクルは復讐できて満足し、俺は借金返済が出来ると喜び、ラスイは俺のリターンを考えたクズルゴへの処遇を好意的に捉えてニコニコしていた・・・傍から見たら凄い楽しそうだったのかもしれない。
「・・・・ど、どうする? 私はどうすれば良いか分からんぞ?」
「私はいいと思いますけど・・・・お二人の意見をお聞きしたいです」
「・・・パーティメンバーが増えると取り分が減るな」
「まずそこかよ」
俺達は少し離れて、コソコソと緊急会議をする。
そしてしばらく会議して・・・・結論に至った。
「よし、シクスって言う名前だったか? まずは質問だ。 エルガントを仲介役に挟んだ理由ってなんだ?」
まずは人となり等を知る為に質問から始める。
「それはっすね。 僕、この街に最近来たんす。 で、その理由が採集祭に参加したかったからなんす。 でも1人で来てから3人1組じゃないと参加出来ないことを知りガッカリしてると、エルガントさんが話しかけてきて採集祭限定のパーティとして組んでくれたんす。 エルガントさんもケナさんとの2人パーティだったんので採集祭の参加条件満たせてなかったっすからね」
早口で話すシクスを見ていると、魔物の知識を披露する俺の話し方と近しいものを感じる。
「それでエルガントさんと知り合いになった後に、採集祭終了後に御三方のパーティに入りたいなぁって思って相談したら、『僕は彼らに最近会ったし、仲介役するよ』って言ってくれたのでそのままお願いしたんす」
まぁ、いきなり話しかけてくるのでなく顔見知りの仲介役を挟んでくる方がいいし、的外れでは無い判断だ。
「お前は男か? 女か?」
続いて質問するテクル、それは俺も気になっている。
「どっちだと思うっすか?」
「知らん、答えろ」
ノリが悪いテクルだった。
「・・・・男っす」
男だった。
「あ・・・・あの、その・・・えっと。 ・・・・魔人について、どう思いますか?」
最後に、辿々しく弱々しい声で、ラスイが質問する。
「魔人っすか? ・・・・・・素晴らしいと思うっす! 存在する事そのものが感動モノっす」
「「え?」」
その驚く程好意的な返答は、ラスイとテクルを驚かせた。
魔人差別はかなり根深い。
それこそ、先程から街の人が露骨に避けるぐらいに。
俺は母のおおらかさの影響もあってか特に気にはしないが・・・・逆に言えば良くも悪くもプラスもマイナスもない印象だ。
なので、ここまで肯定的な感情を持つシクスに俺も声を出す程では無かったが少しばかり驚いた。
もしかしたら、こちらに良い印象を与える為の嘘かもしれないが・・・
「魔人は人間のワンステージ上にいる偉大なる存在っす。 もし神が暇つぶしで創ったのが人間だとすると、神が本腰入れて創ったのが魔人っす」
このべた褒めが嘘なのか・・・?
「・・・そ、そうか」
「そ、そうですか」
テクルとラスイが何だかむず痒そうな顔になっている。
魔人という種族を褒められる事が今まで無かったのだろう。
「魔人の力と人間の魔法では雲泥の差があるっす。 魔人は人間の上位互換でーーー」
「「・・・・・・・・」」
しかしあまりにも褒めまくっているせいで少しひき始めている。
「そもそも魔人を人間と比べることがーーーーそれこそーーーーーだからーーーーー」
・・・・・・長くね?
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