第2話
異世界に来たことが分かったけど、その後無事に生まれることが出来た。無事に生まれることはできたけど、その後が問題だったけど。
なんせ産まれてすぐに泣かなかったり、夜泣きも起こさなかったりと普通の赤子だと不気味にしか見えない行動しかしてない。そのせいで両親や使用人からは気味悪がられている。ちなみに男の子だが、線の細い女の子のような容姿をしている。そのため一人称は私にすることにした。
「赤子の振りが出来れば良かったんだけど」
といってもどうやって赤子の振りをすればいいのかわからない。他にも言葉を流暢に喋ってしまったりとダメな点は多い。
いやこれでも頑張って抑えた方ではあるんだけど。まあとりあえずそのせいで何かの呪いのせいでは、と言われたりしてあることないこと噂が立っている。
「おにいさまー!」
どうしてこうなったと過去を振り返ってくると、妹が呼ぶ声がする。ちなみに今いるところは図書室だが、誰もいないし来ないのでよくここにいる。そしてここなら独り言を聞かれる心配はなかった。少し前なら。
「いたー、おにいさまー!」
「どうしたのレミリア」
最近レミリアはよく私のもとにくるようになった。というのも少し前、私が5歳になったばかりの頃に壊れたぬいぐるみを前に泣きそうになっていた、さすがに無視するのも悪いと思って魔法を使って直した。それがきっかけで噂や周りの反応より思ってたほど怖くないとわかったのか、話しかけてくるようになり相手をするうちになつかれた。
ちなみに妹の容姿は大変可愛い。クリクリのお目目や綺麗な金髪も合わさって可愛い。とても可愛い。
まあ私も金髪だが目つきが鋭いからあんまり可愛げはない。どちらかといえば綺麗系だろう。髪は肩付近まで伸ばしてるからなおさら女の子に見えるだろう。
「(まあなつかれて悪い気はしないけど)」
「あのね、今日も本を読んでほしいなって」
「いいよ、それじゃあ昨日の続きを読もうか」
本の読み聞かせをしたところ随分と気に入ったのか、せがんでくるようになった。まあ大体重要そうな本は読み終わってるから、時間を割いても問題はない。
ちなみに今読んでる本は勇者と魔王の対決の話だ。実際にあったとされていて今もその痕跡、ダンジョンが現れているのもそのせいだと言われている。
レミリアに本を読みつつ、体内の魔力を操作してぐるぐると回す。こうすることで魔力操作の練度を上げながら、他のこともできるようになる練習だ。というか暇さえあれば魔力をぐるぐる回している。
実際に始めの内は魔力を動かせなかったが、だんだんと動かせるようになって今ではスムーズに動かせるようになった。これのおかげで魔法を使うスピードや効率が上がった。
ほかにも魔力を特定部分に多く集めるとその部分が強化される。今だと頭に集めて並行作業ができるようにしている。他には足を速めたりダメージを少なくしたりできるみたいだ。
そうこうしてると本を読み終わった。
「さて、レミリア。お姉様は魔法の練習をするけどどうする?」
「わたしもするー」
「じゃあ行こうか」
レミリアと手をつないで中庭に行く。攻撃性のある魔法は使わないからここで問題ない。
「それじゃあやろっか」
「はい!」
地面に手をついて魔力を流す。少し抵抗感があるが構わず流して隆起するイメージをもつ、するとイメージ通りの現象が起きた。
これが初歩的な物質操作の魔法だ。対象物に魔力を流してイメージで操作する。これ単体だとあんまり役に立たないが、まあぬいぐるみを直したりはできる。
レミリアを見ると同じようにやろうとしていて、はたから見ると土で遊んでいるみたいで微笑ましい。
さてと私はさらに土を操作していく。それと同時に空気中にも魔力を流して風を操作する。二つのイメージを持つことは前世ではできなかったが、今世だと簡単にできるんだよな。
風は素早く動かせるように、土は隆起と平らにするのを交互に繰り返す。これを夕飯までやって今日が終わった。
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