第9話 試練の時

甲子園大会も中盤に差し掛かり、風切りタイガースの次の対戦相手は「都城ドラゴンズ」。彼らは関東代表として出場し、特に守備と走塁に秀でたチームとして知られていた。


試合開始前、翔太は佐藤先生とともにドラゴンズの過去の試合映像を見て分析していた。「彼らは小技を得意としている。しっかりと対応して、流れをつかもう」と佐藤先生はアドバイスした。


翔太はこの日も先発ピッチャーとしてマウンドに立った。初回、彼の投球は安定しており、ドラゴンズの打線を三者凡退に退けた。しかし、2回裏、ドラゴンズの打者が翔太の球を巧みに打ち返し、連続ヒットで先制点を挙げられた。


タイガースの攻撃も、ドラゴンズの守備に苦しんだ。特にドラゴンズのショートストップは、驚異的な守備範囲を誇り、タイガースの打線を何度も封じ込めた。


5回裏、再びドラゴンズが攻勢を強め、2点を追加。翔太はピンチを迎え、佐藤先生はマウンドに上がり、翔太にアドバイスを送った。「焦らず、一球一球を大切に。自分の投球に自信を持って。」


6回、タイガースの攻撃。浩二が先頭打者として四球で出塁し、続く翔太の打席では見事なバントを成功させ、浩二を進塁させた。光一のタイムリーヒットで1点を返す。


しかし、ドラゴンズの守備と投球は厳しく、なかなか追加点が取れない状況が続いた。9回、タイガースは2点ビハインドのまま、最後の攻撃に入った。


大地がセンター前ヒットで出塁。続く浩二も四球で続き、一死一、二塁のチャンス。この時、打席には翔太が入った。彼はドラゴンズのピッチャーの投球をじっと見つめ、3球目、外角低めの変化球を捉え、右翼フェンス直撃の二塁打を放った。大地と浩二がホームインし、同点に。


結果、試合は延長戦へ。翔太は10回まで投げ抜き、11回からは浩二がリリーフとしてマウンドに立った。12回、タイガースが勝ち越し点を挙げ、試合を3-2で勝利。


翔太は試合後、「今日は本当に厳しい試合だった。でも、チーム全員の力で勝ち取ることができた。次もこの勢いで頑張りたい」とコメントした。

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