第2話
男たちはサーバールーム前に立ちはだかる警備の量に手を出せずにいた。
「隊長、これどうしましょう。」
部下の一人が困ったように言う。
「私が行こう。」
そう短く返答すると、部下は一瞬驚いた顔になるが、すぐに冷静になり、「お気をつけて。」と短く言う。
男はその場から歩き出し、警備たちがいる方へと静かに歩き出す。
男は弾丸を一つ取り出し、警備たちがいる通路の前に投げ入れた。
すると警備たちは一瞬驚くが、異常を確認するためにこちらによって来る。
警備の一人の足が曲がり角から出た瞬間、男はスモークグレネードを取り出し投げつけた。
警備たちは煙が直撃し何も見えず、動けずにいた。
そこに男は、愛用のナイフを取り出し警備たちの首を切っていった。(特殊なゴーグルで煙の中でも自分は見えている)
警備たちは音もなく仲間の首から血が噴き出していくのを見て恐怖を感じていた。
そして次の瞬間には目の前が真っ暗になっていた。
男は警備たちをすべて倒し、部下たちを手招きした。
「た、隊長、さすがですね。」
部下が少し引き気味に言う。
「これくらい大したことない。」
そう男が言うと部下はさらに引いた顔になる。
男にとっては大量の警備も大したことがない部類に入るらしい。
男たちは気を取り直し、サーバールームへと侵入していく。
そこには大量のコンピューターが立ち並んでいた。
「何分ほどで情報をダウンロードできる?」
男は部下の一人に聞く。
「早く見積もって30分ほどっすかね。」
そう眼鏡をかけた知的な男が答える。
隊長の男はそれを聞き、この後の動きについて思考を巡らせる。
男は30分もここに居座るのは危険な予感がした。
男はデータを持ち帰るのは自分一人でもできると考え、部下はブラボー隊に合流させ、撤退の準備をさせることにした。
「お前らは、先に撤退の準備をしろ。データは私が持ち帰る。」
「了解。隊長も気を付けてくださいね。」
男は部下にそう心配されるがあとは帰るだけなので今までの緊張は消え失せていた。
部下たちがサーバールームから離れると、男は一人になった。
男は少しの孤独を感じながらも心に余裕はあった。
警戒をしながら待つこと30分、データのダウンロードが完了したことを確認した男は、無線で部下たちに様子を聞いた。
「こちらアルファリーダー、ダウンロードを完了した。このままそちらに合流する。」
しかし、しばらくたっても応答はなかった。
不思議に思った男はもう一度無線に語り掛ける。
「こちらアルファリーダー、ブラボー隊、アルファ隊応答せよ。」
やはりいくらたっても応答がないので、男は嫌な予感がし始めた。
すると無線にノイズ交じりの声が聞こえてきた。
「、、、、たい、、、ちょ、、にげ、、こく、、ろ、、う、、が、、ぐはっ、、」
男はここに来て初めての焦りを感じた。
男は『黒狼』、この名に恐怖を抱いていた。
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