幾星霜の時を超えて(仮)

KBANPS

プロローグ

第1話

宇宙歴XXXXX年 

第4宇宙アブロイクス銀河第32星系第3惑星付近の小惑星にあるとある研究所


『こちらブラボー隊配置についた。』


無線機越しに声が伝わる。


「こちらアルファ隊準備は完了した。これより作戦を開始する。」


『こちらブラボー了解。』


男が作戦開始を告げると、無線機から応答が返ってくる。

その声からは緊張が感じ取れ、この任務の危険度を物語っているような気がした。


「なに、緊張することはない。いつもと変わらん任務だ。これが終わったら酒でもおごってやる。」


男がそういうと、後ろに待機している部下たちの緊張が少し解けたように感じる。

きっと無線機の向こうでも少しは緊張が取れたことだろう。

ただそうはいったものの、この任務の危険度が変わることはなく、内心いつ死んでもおかしくはないと思っている。

そして男はより集中力を高め任務に集中することにした。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐


そもそもなぜ男がこのような危険なことをしているかというと、男は銀河自由連邦の特殊部隊に所属しているからだ。


今回の任務の内容は、連邦と対立している宇宙統一帝国の新兵器の情報の奪取だ。

連邦のお偉いさんはこの新兵器とやらにビビっているのだ。

というのも連邦と帝国が戦争をするとき、序盤は連邦が押していることが多いのだが、毎回そろそろ決着がつきそうというときに帝国が新兵器を持ち出してきては、形勢を逆転させるのだ。

そういうわけだからどうしても帝国に新兵器を作らせたくないのだが、つい先日ようやく帝国の研究所を見つけることに成功した。

ただこの研究所を見つけたからと言って放置していいはずがなく、このような任務が下されたのだ。


今回男がこの任務に招集された理由は、私が優秀だからというのもあるが、危険な任務にわざわざお気に入りを死にに行かせるわけにもいかず、特に愛国心もなく組織への忠誠心も浅い男に白羽の矢が立ったからだ。


そんなわけで、男を隊長に据え帝国への潜入部隊が結成された。


先ほどから言っているようにこの任務は危険だ。

帝国の新兵器の情報がそう簡単に取れるはずもない。

そういうわけで男を含め皆緊張しているのだ。


‐‐‐‐‐‐


そして現在男たちアルファ隊は研究所内にあるサーバールームへの侵入を試みている。

ブラボー隊は研究所の管制室へ攻撃を仕掛ける揺動班だ。

男たちアルファ隊はブラボー隊が時間を稼いでいるわずかな時間の間に情報を奪取しなくてはならないのだ。


だが、サーバールーム前には警備がたくさんおり、なかなか侵入できず、男たちは通路の曲がり角で止まっていた。

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