第4話 優劣が付く三姉妹。
シィアとイェイロがジェンタと沢山久郎の部屋に乗り込もうとして、兵士達の慌てる声が聞こえた事で、「やば、久郎は最初の頃みたいにして」とジェンタが言い、久郎も「ジェンタ、わかったけどお願い聞いてよ」と返す。
2人は気づかないフリをしている中、部屋に乗り込んできたシィアとイェイロの前で、ジェンタは「見にこない約束は!?」と驚きながらも、「久郎?」と声をかけると沢山久郎は「ジェンタ、そろそろだよ」と返してから果てる。
本当なら同時を狙いたかったが、同時に果てない事も約束をしていたので、抜け駆けがバレると面倒くさい。
ジェンタからすれば同時は不慮の事故で狙う物ではない、その為に我慢をしたが、邪魔がなければ本日3回目の同時だったのにと腹立たしい気持ちになる。
「久郎、少し休んでいて。私も見られながらは無理だよ」と言って沢山久郎から降りると、「約束を守ってよ」とイェイロとシィアに注意をする。
質問に答えずに「ジェンタ、何回?」と聞くイェイロと、「秘訣を教えてくれ姉さん!」と言うシィア。
3人が初めて揃った所を見た沢山久郎だったが、何となくやる事はわかった。
そしてジェンタにしたお願いは間違ってなかった。
ジェンタは勝ち誇った顔で「6回」と答えると、わずか2時間でこの戦果にイェイロとシィアは目を丸くする。
「何故!?何故ジェンタだけ!?この勇者は薬物耐性もある!ズルなんてできないはずよ!」
「教えてくれ姉さん!頼む!」
ジェンタは沢山久郎の言葉通りの展開に笑わないようにしながら、「私と久郎は仲良しなのさ」と言った。
元々沢山久郎の願いは、仲睦まじい姿を見せつけてジェンタが特別な事なんかをアピールしようという物だった。
当然、仲良しなんてそんなゆるくふわっとしたもので、3倍近い結果が出てたまるかという気持ちで、イェイロが「ふざけないで!」と言ってジェンタの肩を掴んだ時、ジェンタは怖い顔になると「やめなよ。久郎から沢山貰った私とイェイロが勝負になるわけないよね?」と言って力づくでイェイロを制圧すると、止め入ったシィアも組み伏せてしまう。
「支援職の私でも、久郎のお陰でシィアに勝てちゃうんだ…。もう2人はいらないかもね」
床に頭を押し付けられながら「その増長、お父様に言うわ!」とイェイロが怒鳴った時に、沢山久郎は「やめろよ。ジェンタはあなた達の中で特別だからだよ」と言った。
特別と言われて喜ぶジェンタがシィアとはイェイロの手を離すと、2人は立ち上がりながら「勇者?」「お前…、何言ってんだ?」と言う。
「今だってそうだ。ジェンタは俺を名前で呼んでくれる。あなた達は俺をモノとしてしか見ていない。この世界に連れてこられて不安な中、優しく話しかけてくれたのはジェンタだ。無言で襲うだけのイェイロや、殴って何とかしようとするシィアとは違う。ジェンタはコミュニケーションを取ってくれる」
確かに思い当たる節はある。意思疎通に意味はないと徹底して道具扱いするイェイロと、暴力で思い通りにしようとする乱暴者のシィア。
そんな中、「久郎、助けてくれるの?ありがとう」と言って甘えるジェンタ。
沢山久郎は「ジェンタは俺の言葉を聞いて、俺の願いを叶えてくれるから回数だって違うんだ」と言う。
お願いのことを出されて慌てるジェンタに、「結果は出てるから怒られないよ。俺を人間扱いしてくれるジェンタと上手くいったんだから」と言った沢山久郎は、「ジェンタは俺の気分を高める為にキスを許してくれた」とイェイロとシィアに告げた。
イェイロは目を三角にして「ジェンタ!あなた!」と怒り、シィアは「キスか!?それなら私だってしてやる!」と叫んだが、「違うよ。キスはジェンタにしたかったからだ」と言うと、2人の見ている前で「ジェンタ、今もいい?」と聞いて、ジェンタは「仕方ないなぁ」と甘えたそぶりでキスを返す。
それは演技なんかではない本気のキスだった。
キスで気分が高まったジェンタは、「ねぇ、もういいよね?久郎と続きしないとお父様に怒られちゃう」と言って2人を追い出すと、扉を閉めながら「久郎、時間取られちゃったけど頑張ってくれる?」と聞き、沢山久郎は「うん。ジェンタとなら頑張れる」と返していた。
勿論邪魔をしてきた事で不満の残るジェンタは、「後2回は出来たのにさ」と漏らして国王に告げ口をしていた。
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