79 キャッチコピーと『リングにかけろ』


⚫「改悪されたもの」を指す名称


 1983年頃、流行った職業があったんですよ。「コピーライター」っていうんですがね。「キャッチコピー」を創る人。糸井重里しげさとさんなんかが有名なんですけどね。ほかに誰がいたのか、知らんけど。


 今でいったら「ユーチューバー」みたいなものですかね。さすがに今「ユーチューバーを将来の仕事にしたい」なんていうのは、せいぜい小学生までくらいで、中学生になるともっと現実的な目標を掲げているようですけど。


 どんなに言葉のセンスが良い人でも、そう簡単にキャッチコピーなんか考えつくものじゃないですよね。自分で「このキャッチコピーはイケてる」と思っても、他人がどう感じるかなんてわかりませんし。


 最近、毎日のようにBSやCSで『浅見光彦ミステリー』を2本ずつ放送してるんですよ。


 水谷豊さん、辰巳琢郎さん、榎木孝明さん、中村俊介さん、沢村一樹さん、速水もこみちさん、平岡祐太さんなど、そうそうたる方々が光彦を演じたわけですが、さすがに同じ原作を2回ドラマで演じた方はいません。


 それで見比べてみると、前にも書いてるんですが、同じ原作を元にドラマを作ってるはずなのに、全然違う話になっていたりするわけです。中には「それはないだろう」というものがけっこうあります。


 『セクシー田中さん』問題以降、原作の改悪問題が毎日のように報じられてきていますが、この「改悪されたもの」を指す適当な名称が、まだないんです(ないよね?)。


 私はこのキャッチコピーを思いつきました(ここで話が元に戻りました)。それは「オーバーアレンジ」です。どうでしょうか?


 「オーバープロデュース」というのも考えたんですよ。でもこれ、ハードロックバンドの「Thin Lizzy(シン・リジィ)」のアルバム『ブラック・ローズ(1979年発表)』を指して、後年評論家の誰かが使っちゃってるんですよね。この場合、「エフェクターを使いすぎてサウンドがひずみすぎてる」という意味だったと思いますけど。


 なので「オーバーアレンジ」。どうでしょうか(← しつこい)。もう誰か使っちゃってたりして。



⚫漫画『リングにかけろ』


 テレビっ子の私は、見もしないのにテレビをつけています。何も見るものがないと、CSのパチンコ・パチスロ番組を見てるんですが、たまたまその中で、出演者が『リングにかけろ』というパチスロを打っていたんですよ。


 『リングにかけろ』は1977年から1981年まで週刊少年ジャンプで連載された、車田正美先生によるボクシング漫画なんですが、初めの頃こそ普通のボクシング漫画でしたけど、途中から何というか、アナザーワールドになっちゃってるんですよ。


 いや、異世界転生とかSFになったということじゃないんです。ボクシングには違いないんですが、必殺ブロー(← パンチのことね)を決め合って、1試合を1週間で終わる展開になるんです。連載で毎週1試合が終わるんですよ? 凄くないですか?


 たぶん普通にジャブ、ストレート、フック、アッパーといったパンチなんですが、登場人物がそれに必殺技っぽい名前を付けるんですよ。


 ちょっと思い出しただけでも、「ブーメランフック」、「ギャラクティカマグナム」、「ハリケーンボルト」、「ローリングサンダー」、「ジェットアッパー」、「影道シャドウ雷神拳」とか。


 この漫画は高嶺たかね竜児という中学生が主人公なんですが、全国大会で戦ったメンバー5人が、柔道の団体戦のように5対5で戦う世界大会に出場します。その5人は「黄金の日本Jr.ジュニア」と呼ばれ、前記の必殺ブローを引っさげて戦うんです。(※「影道シャドウ雷神拳」だけは黄金の日本Jr.ジュニアの必殺ブローではなく、影道シャドウ総帥のもの)


 そして世界大会が終わった後も、「ギリシャ十二神戦」など戦いはエスカレートしていって、必殺ブローも「ブーメランスクエア」、「ブーメランテリオス」、「ギャラクティカファントム」、「スパイラルタイフーン」、「スペシャルローリングサンダー」、「ジェットラベンダー」、「影道シャドウ冥皇めいおう拳」などの上位バージョンになっていきます。


 それだけでも凄いんですが、なんと敵にも敵の数だけ必殺ブローがあるわけですよ。「スコルピオンクラッシュ」とか「ライトニングプラズマ」とか。


 いやこれ、馬鹿にしてるんじゃなくて褒めてるんですよ。前の項から続く流れにもなるんですけど、毎週のようにキャッチコピー的な必殺ブローの名前が出てくるんです。編集者やアシスタントも含めて、みんなで必死に考えたんでしょうね。


 で、そういうアナザーワールド的な戦いの最後に行き着くところは、主人公の高嶺竜児と、先に世界チャンピオンになったライバルの剣崎順とのタイトルマッチなんです。


 これがねえ、ちゃんと時間をかけてページを割いて、泣ける戦いになっているんですよ。


 私は主人公の高嶺竜児を応援していたんですが、ライバルの剣崎が死んじゃうんじゃないか? と心配になったものです。


 竜児が天才の姉・高嶺きくから最後に託されたパンチが、右アッパーでした。名付けて「ウイニング・ザ・レインボー」。これを喰らっても立ち上がった剣崎でしたが・・・。


 もうだいぶネタバレになっていますが、結末をいうのはやめておきましょう。最後の方は特に熱くて泣ける漫画でした。



⚫本日の猫


 チロルは雷や花火を怖がりません。「猫の集会所」の連中や、「なめこ」と「ミミ」もあまり怖がらないようです。


 アミコはわりとビビリです。でも一番取り乱すのが、ハチコと5匹の子たちです。


 ご飯をあげに行ったときに、なかなか雷が鳴ったり花火が上がったりはしないんですが、本日たまたま雷が鳴ったところに出くわしたら、全員慌てて隣の部屋に逃げていきました。どこへ逃げても同じなのに。


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