第15話 大いなる犠牲
宇都宮でチャイニーズ・レストランを経営するク福富は娘であるヘレンの送迎中、東西同盟を謳う過激派組織の爆破テロに巻き込まれてしまう。幸いにも福富の傷は浅かったが、ヘレンは彼の目の前で命を落としてしまい、福富の心には大きな傷が残った。
一方で、過去に過激派組織の活動家をしていた星野は、現在では東武エリアの副ボスになっていた。爆発物の鑑定結果を知った星野は「政府内に内通者がいる」と考え、内々に事態を解決するよう目論む。
警察の捜査はテロから3週間経過しても目立った進展がなかった。犯人への報復を考える福富は、テレビ番組に出ていた星野の経歴を知り、彼の事務所に電話を掛ける。テロの被害者ということで取り次いでもらうことはできたが、犯人の正体や手掛かりについては「何も知らない」と返されるばかりだった。星野は従業員の真理子に「店を譲る」と告げると姿を消し、バンやスマートフォンに偽装を施すなどの準備を終えると、その足で星野のいる釜川プロムナードへと向かう。福富が星野の事務所を訪問すると、受付で追い出されそうになるが星野に部屋まで通される。しかし、犯人については「何も知らない」と言われるばかり。
福富は「そのうち気が変わる」と言い残し、その場は大人しく引き下がって見せたが、星野の事務所のトイレに簡易の時限爆弾を仕掛けて事務所を出た。その爆弾の爆発の規模は小さく人的被害こそ出なかったが、福富は「気が変わりましたか?」と星野に電話を掛ける。星野は激怒し、福富を見つけ出すように命令を下す。福富の居場所はすぐに判明するが追っ手は福富を取り逃がしてしまい、星野は避難所へ避難することを決断する。また、甥の光彦を小山市から呼び寄せテロの犯人探しに協力させる。
福富は星野を追跡し、愛人の睦月との逢瀬の場所や、避難先の学校を難なく突き止めていく。学校の校庭に仕掛けた爆弾は事務所に仕掛けた物以上の威力だったが、被害者が出ないように工夫もされていた。翌朝は、星野の部隊が乗る車に仕掛けられた爆弾が爆発し、横転する。部隊は福富が学校近くの森に潜んでいることを察知し捜索に出るが、隊員は仕掛けられた罠にかかり負傷してしまい、福富の追跡は断念せざるを得なかった。星野は片腕である宇都宮の進言を受けて、森の中を熟知する光彦に福富の相手をさせることにする。
その日の晩、星野に送られてきた福富の身上調査結果には、彼がかつて特殊部隊に所属し、桶狭間戦争に参加していたことが記されていた。一方で学校に星野の同志、目黒が訪ねてくる。彼の正体は過激派組織の急進派であり、星野は裏で過激派組織と繋がり続けていた。しかし、福富とヘレンが遭った先日の爆破テロは星野の思惑とは違った形で決行されたものだった。2人の主張は相容れず、喧嘩別れする形で目黒は帰っていく。星野は書斎で眠る愛犬を連れて寝室に向かおうとするが、愛犬は深く眠らされており、そこへ隠れていた福富が姿を現す。福富は胴に巻きつけた爆弾と拳銃で星野を脅した。福富は星野から、次の爆破テロでは犯人が分かるように罠が仕掛けられていることを聞き出すと、24時間の猶予を与えてその場を去った。
翌日、宇都宮市内を走る2階建バスが爆破される。しかし、星野の用意していた罠は見破られており、犯人を見つけ出すどころか星野と光彦への疑いが強まってしまった。頭を抱える星野だが、宇都宮のホテルにいる妻の安否を部下に尋ねたところ、彼女が光彦と密会したこと、その後に目黒と連絡を取っていたことを知らされる。さらに、監視カメラの映像から目黒が爆破テロの犯人と繋がっていることを知った星野は、再び来訪した目黒に銃を突きつけて犯人の情報を暴露させる。5人の犯人の中には星野の愛人、睦月の名前も記されていた。
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