第6話

ー 現在 ー

HRも終わり、一限目が始まった。

授業は数学だ。私は数学が苦手なので聞いても無駄と思い、少し考えてみた。

”そういえば、あのメッセージから話していないし学校などでも会うくらいで一度も話していない。” そう思った。

もしかして板里君は私のこと興味が無くなったのかとか思った。でも私も自分から話しかけようとか思わなかった。でも好きという気持ちは変わらない。

話しかけるとしても、何を話せば良いのか私には分からない。


私はそう思いながら黒板に書いてある文章を意味も分からずノートに書き写した。

そしてその後、先生が教科書を手に持ちながら私たちに言ってきた。

「じゃあ、今からここのページの問題をやってもらいます。時間は、、、まぁ十分で出来るだろ。じゃあやってみて。」

私はこんなの十分で出来るわけ無いだろとか思いながら、少し取り組んでみた、黒板に書いてあることを参考にしながら、やっと一問目を解き終わった。ここまで約五分。あと二問もある。単純計算でいくと、あと二問解くのに十分掛かる。つまり無理だ。


美香の方を見てみると頬杖を着きながら退屈そうに時間が流れるのを待っているような感じがした。多分あれは終わっている。

実香は頭が良く、テストの点数も良い。だからあんな状態になるのも納得だ。

そう考えていると、先生が「時間だ。」と言った。

実際に解けた問題は一問のみ、あとの二問はどう考えても私には無理だ。

先生はいつも誰か一人ランダムで当てる。今日は偶々一問目に私が指名された。

合ってたから良かったものの、一問目以外の問題に指名されていたら終わっていた。

問題の答え合わせが終わると同時に授業の終わりを知らせるチャイムも鳴った。


休み時間に入り、私は実香と一緒に廊下に出ると、隣のクラスから板里君が出てきた。私は顔が熱くなった。さっきまで板里君の事を考えていたから余計に赤くなった。私は勇気を振り絞って話しかけることにした「ねぇ、板里君、今日の夜話さない?」

ここで板里君が何か言うのかと私も美香も思っていたが、私たちのことが見えてないかのようにスーッと横切って行った。

このときにはもう板里君は私のことが興味が無いんだと思った。というか元々私が勝手に気持ちがあると思っていたのかも知れない。


そこで美香は気を使いこう言った。

「大丈夫だよ、、、!多分私たちに気づいていないだけだって!」

美香の話し方に少し焦りが見えた。

”実香が焦る必要なのに” とか思いながら私は美香に言った。

「うん、そうだね。速くトイレ行って教室戻ろうか」

「うん、そうだね、、、」

なにが悪かったんだろう。私のなにがいけなかったのだろう。

ずっと話していなかったから?それかどこかで嫌なことでもあったのかなとかそんな事を思いながら手を洗い、教室に戻り次の授業の準備をした。


この授業は私はまともに受けれなかった。教科書もノートも開かずにただうつ伏せになっていた。あのことがあってなかなか受け入れることが難しかったから。

何分後かに先生の足音がこちらに近づいてくる音がした。それでも私は顔を上げなかった。


「ちょっと結さんどうしたの?具合悪いの?」と優しい声で聞いてきた。

私はそれでやっと顔を上げた。

「いえ、大丈夫です。すいません。」

先生に嫌な風に思われたくなかったのでそう言いノートを開いた。

先生は「そうですか。」とだけ言い授業を続けた。

いつまでもこうやってクヨクヨするのも自分的には辛い。

そして

美香にも心配をかけたくない。でもやっぱり忘れることが出来ない。

普段あまり恋愛をしないから、こうなってるだけなのかも知れない。恋愛となるとこういうのも日常茶飯事なのかも。とか無駄なことをずっと考えていた。


どうせならまたうつ伏せになって一人の空間に居たい。何も考えずにこの時間を過ごしたい。

どうせならこの場で泣きたい。泣いて、泣いて、あの事を忘れたい。

どうせなら、どうせなら、、、

私に今出来ないことばかり並べるのももう嫌になった。

まだ授業が終わるまで二十分もある。仕方がないので取り敢えず今は勉強をしよう。

そしてこのあと美香に話を聞いてもらおう。

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