第3話
「お前弱虫だな!」
「なんだよ!なんかあるんなら言い返してみろよ!」
いじめがあるということを知っているのになにも出来なかった。分かってた。でも助けられなかった。誰も助けていなかったので助けなかったのだろう。なら、誰かが助けていたら、俺は便乗して助けていたのか?
「◯さんは転校しました。」
「なんでですか?」
「家の都合で転校しました。」
俺は知ってる。いやここに居るほとんどの人が知っている、いじめられて転校したことを。
スマホのバイブ音が聞こえる。俺は目を覚ました。一階の方から「泰斗起きてるー?」という母さんの声が聞こえた、取り敢えず適当に返事をして起きてることを伝えといた。
また夢を見ていた。最近よく見る夢だ。その時いじめられていた女の子はいじめられてから転校した、なので今はどうなっているのかは分からないし転校した人の名前も覚えていない。
いつも俺はこう思っている。夢の内容はすべてが正しい訳でもないと。
そう思いながら、自分の部屋にある学校の制服に着替えて身だしなみを整えて、下に降りた。
母さんと父さんは既に朝食を食べており、父さんはもう食べ終わる頃だった。
俺は「おはよう」と言い、椅子に座り朝食を食べ始めた。
朝食を食べている俺を見て母さんは口を開いた。
「あんた元気無いね?どしたの?」
自分的にはそんなことないと思ったが母さんにはそう見えたらしい。
「そうかな?そんなこともないと思うけど」
「あらそう、それならいいけど」
そう言い母さんは朝食を済ませ続くように俺も朝食を済ませ食器を台所に持って行った。
そしてバックを持って学校に行くことにした。
入学したばかりなのでいじめは無いと思いたい。まぁいつになってもいじめはあってはならないと思うけど。
学校に着くといつも俺よりも速く学校に来ている人がいる。それは隣の結さんという人だ。俺が極力速く行こうとしてもいつも先にいる。名前は休み時間友達と話している時に耳に入り知った。髪型はボブで身長は少し高めでお転婆な子だ。
この日は部活を決める時間があった。一人で何にしようか迷っていた時、隣を見ると一人静かに考えている結さんがいた。
仲良くなってみたいなと思い少し話しかけてみた。
「ねぇ、部活決まった?」そう聞くと結さんはこちらを見て分かりやすく顔を赤くしていた。結さんは迷っているらしいので俺はアドバイス的なことをしてあげた。そこから少し会話が弾み、仲良くなったと思う。いじめがなかったらこんな感じなんだな と思いながら入る部活を記入する紙に ”サッカー部”と書いた。
そして俺は少し結さんの事が気になり始めたような気がした。どこか他の女子と違う感じがし、話していて楽しい。この席がずっと続けば良いなと思う自分もいた。もう少し話して結さんの事を詳しく知りたいそう思った。
気づけば今朝見た夢のことも忘れていた。
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