第一話 「マジか……普通にやってたわ」

「来月の今頃はクリスマスじゃん?」


「急にどうしたの?」


「まぁ、いつものことだろ」


 食堂で昼食を食べながら急に深刻な表情をしてそういった海に、クラスメイトの風見かざみ陽向ひなたと奏太が興味なさげに平然とそう返すが、海はそのトーンのまま


「二人とも、よく考えろ?クリスマスといえばなんだ?」


「ホームアローンだな」


「ホームアローンだね」


「いや、確かに金ローはそれ一辺倒だけど!もっとほかにあるだろ」


「どーせ、恋人ほしいーっていうやつだろ」


「それ何回目?」


「それは……」


「お前夏休み前、文化祭直前、そして今……三回目なのに何もしてこなかったのはお前だろ?」


「自分から動かないと相手はこないんだよ?」


 彼も自分から動かないと恋人なぞできるわけがないのはわかっているのだ、だが、それができないから毎回こうやって嘆いて、愚痴って終わるのである。

 だからこそ、奏太と陽向のコンボ攻撃に、矢が刺さったかのように胸を抑えた海は、そのまま机に突っ伏す

 そんな海をそのままに陽向は、奏太にあることを聞く。


「そういえば、奏太って中学ではモテてたの?」


「うーん、どうだろうな」


 興味津々に聞き出そうとする二人だが、奏太自身、鈍感かつ他人に無関心なためわかっていない。

 ちなみに、一昨年のバレンタインは女子16人からもらうということもあったが、本人曰く義理である。


「まぁ、告白されることはなかったし、モテてなかったんじゃないか?」


「いや、それは日高がいたからじゃね?」


 いつの間にか復活した海は、さっさと残っていたラーメンを腹に収めて、そう言う


「そうじゃん……で、日高さんとはどんな関係なの?」


「いや、何度も言ってるが、あいつとはただの幼馴染だぞ?それと、あっちも恋愛対象としてみてないって」


「でもさ、なんかいろいろと噂立ってたじゃん?」


「え、何それ知らない」


 まぁ、どうせクラスの一部での噂だろうとタカをくくった奏太に、陽向はさすがに覚えてるでしょと思いつつ続ける


「先月の文化祭の時「ベストカップル大賞」ってあったじゃん」


「あー、俺は小莉とあれ見てたぞ?そこでなんかしたっけ?」


 奏太は自分の記憶を振り返りながらも、心当たりがないので、首をかしげる


「なんか『観客側に滅茶苦茶イチャイチャしてる奴らがいる』って話題なったんだっけ?」


「そうそう、結構大きく話題になっててね『真の優勝者はこっちか?』って」


「ん?それと俺に何の関係が?」


「いや、その話題の対象、君たち」


「へ……?は?」


 珍しく慌てふためく奏太を珍しそうに見ながら、食べ終わった食器を持っていく二人。奏太もそれについて持っていくが、その間何度も二人に真偽を問う。

 で、二人曰く、舞台でやっていた『ベストカップル賞』を見ていた小莉と奏太が、何かしら食べていた時に、人目も気にせずに「あーん」なんてしていたとか何とかで。

 奏太もやっと思い出したようだが、奏太本人的には普段より少しはしゃいではいたが、普段通りの感覚だったようで


「いや、でもあれって普通にしないか?」


「しないね」


「しないな」

 

「マジか……平然とやってたわ」


 二人から食い気味に否定されたため、スゥーと吸気音を出しながら頭を抱える


「ナチュラルかぁ」


「やばい、俺も幼馴染ほしくなってきたかも」


「いや、無理だよね?」


 頭を抱えている奏太に、少し呆れ気味の陽向、そして幼馴染を欲しがる海。

 そんな話をしているうちに三人は教室へ戻ってきた。


 教室ではクラスの男子が真ん中に集まって何やら盛り上がっていた。


~~~あとがき~~~


 めちゃ空いてすません、春休みはいるんで、多少は投稿頻度上がります

 今後ともよろしやす

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

なんとなく幼馴染の純粋なやつが書きたいなって 薄明 黎 @singononote

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ