衣替え 2023/10/22
我々はがしゃどくろ。
骸骨の妖怪である。
そして私は、そのがしゃどくろを率いるファッションリーダーである。
我々には長らく服を着る習慣がなかった。
しかし、個体数が増えるに連れ、個体識別出来ないと不便という声が出てきた。
そこで人間のマネをして、服を着ることにした。
初めは適当にシャツを着るだけであったが、次第にファッションに目覚める個体が出てきた。
その中でも特に優れたセンスを持つのが、この私ということである。
ファッションとは不思議なもので、気合を入れると見せびらかしたくなる。
しかしなんの用意もなく街へ行けば、陰陽師や霊媒師などに祓われてしまう。
恐らく嫌われているのだろう。
なので身内で楽しんでいた。
そんな我々にも衣替えの季節がやってきた。
もちろん我々には、衣替えの必要などない。
人間は服で気温変化に対応しているらしいが、我々は気温の影響を受けないからだ。
実際ほとんどの個体は行わないし、やっても上着を着るだけである。
しかし今年は違う。
去年の今頃、命知らずの個体が街へ出た。
無事に帰ることはないと思われたが、普通に帰ってきた。
そしてある情報を持ち帰った。
ハロウィンである。
その日は怪物が街を練り歩いても問題ないというのだ。
それを聞いた我々は興奮した。
そうファッションを見せびらかす事ができるのである。
今までファッションに興味を持たなかった個体も、オシャレし始めた。
そして多くの個体が衣替えを期に、ハロウィンを視野に入れたコーディネートで着替える。
みんなで出ていく街を話し合ったが、渋谷に決まった。
どうやら、どこでもやっているわけでもない様で、今回は無難にということで、規模の大きい渋谷ということになった。
最近は、ファッションに不慣れな個体のサポートで忙しいが、全く苦にならない。
みんながファッションに興味を持ってくれて嬉しいのもある。
それ以上にハロウィンの事が楽しみなのだ。
あと一週間ほどでハロウィン。
その日ばかりは、ファッションの中心は我々だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます