束の間の休息 2023/10/08

広い海にぽつんと浮かぶ島。

そこにたくさんの鳥が集まっていた。


しかし彼らはそこに住んでいる鳥ではない。

彼らは遠い地から飛んできた渡り鳥である。


この旅は過酷である。

気の遠くなるような距離を飛ばなければいけない。

途中で脱落する仲間たちもいる。

それでも、かれらは旅を辞めない。


なぜそんな事をするのかと問われれば、彼らはこう答えるだろう。

そこには素晴らしい物が溢れているから、と。

そして目的地の方へ見つめるのだ。


もちろん見える距離ではない。

しかし彼らには、はっきりとその光景が見えているのだ。

でなければ、こうも迷いなく旅を進めることはできないだろう。


彼らの様子を見るに、ここを発つのは明日の朝だろう。

また過酷な旅が持っている。

だがまだ旅立ちの時間ではない。

明日に備え、彼らは英気を養う。

これは過酷な旅の束の間の休息なのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る