別れ際 2023/9/27

ひどく気が重い。

なぜなら、今から世界で一番愛している彼女と別れなければいけないからだ。

彼女が電車に乗り遠くに行ってしまう。

「離れたくない」

「でも、仕方のないことなの」

彼女は呆れたように笑う。

「君を一人にするのは不安なんだ」

「大丈夫よ。空手習ってるの知ってるでしょ」

今度は不敵に笑う。

「でも君にさみしい思いをさせるわけには‥」

「ハイハイ、分かったから。じゃあもう電車出るから」

そう言ってさっさと駅の改札口に向かっていった。

そっけない。彼女は僕に未練はないのだろうか。

やはり、もう一度話合うべきでは?

考え事をしていると、彼女が踵を返して戻ってくるのに気がついた。

何事かとかと思っていると、

「ごめん忘れてた」

そう言って、僕のほっぺたにキスをする。

「行ってきますのちゅー。晩ごはん期待してるからね」

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