あしたへ
しばらくして、二人は森の外に出た。しかし、先ほどよりも空が暗くなり、足元もよく見えない。景色の
「ここを
シェサが不安げに
そして、空が赤く
シェアは驚いて、声にならない声をもらし、しりもちをつく。それから、死体から目をそらすように顔を上げる。すると、視界の先には
「まさか……これがスールの町?」
崩れかかった石の壁。燃え
「なんだか、この世の終わりを見ている気分ね」
ルティアはそう
センソウという名の
全てを食べ尽くした
火を吐き 人を殺し
全てを食べ尽くした
後に残ったものといえば
真っ黒に
歌が終わると、しばらくの
「よくこんな
シェサは言葉に怒りをにじませる。ルティアはそれを聞いて表情を
「あんたは人間だもの。あたしの気持ちなんてわかんないのよ」
ルティアはそれだけ言うと、シェサの横に腰を下ろす。
「落ち込む事なんてないわよ。まだ、あんたの家族が死んだって決まった訳じゃないんだから」
「家族がどうとか、そんな事、誰も言ってないよ」
「でも、心配でしょ?」
「別に……」
「いじっぱり……」
ルティアはぼんやりと辺りを見回していたが、町の横に広がる大きな湖を見つけて目を止める。先程まで
「悲しみの
それだけ言うと、懐かしいメロディにのせて、懐しい歌をうたい始める。
涙で
ルティアはそこでうたうのをやめた。シェサは非難するようにルティアを見る。
「前にうたってって言った時、忘れたって言ってなかったっけ?」
「そうだったかしら? そんな事、覚えてないわ」
ルティアはそう言ってから、突然、話をそらす。
「ねえ。これからどうするつもり?」
「この湖を渡って
しかし、辺りを見回しても、町には
「どうしたの?」
尋ねられて、シェサは困った顔でルティアを見る。
「船がないんだ」
「なんだ、そんな事?」
ルティアはそう言って、得意げに胸をそらした。
「あたしを誰だと思ってるの?
「出来るの?」
シェサは
「行こう! 湖の向こうの国へ」
シェサは
「この上を歩いて行くからね。私の手をしっかり握っていて」
ルティアがシェサの手を引いて湖に移動すると、二人の足が
「浮いてる!」
シェサはそう言って、嬉しそうにルティアを見る。
「さあ、行くよ」
そして、二人は湖の上を歩いていく。
また、新しいあしたへと向かって。
あしたへ 汐なぎ(うしおなぎ) @ushionagi
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