第20話 注目の的
「俺の弱みを握るのが好きだな……いい性格してるよ」
頭を抱えながら嫌味ったらしく言う。
俺をイジって楽しいか? そんなに弱々しくなってる男を見たいなら、またホテルの前で立って、ドⅯの人とでもホテルに入ればいいのに。
「お前ら、場所移動した方がいいぞ。周りの視線がすごい」
周囲を気にしながら、後ろから真人は声をかけてくる。
「確かに、これはマズいな」
クラスメイトからの視線は、俺たちに集まっていた。
「あの2人どうゆう関係なんだろうね」「恋ちゃんと付き合ってるんだから妹とも繋がっててもおかしくないよね」「美少女の双子と関わりがあるとか……ズル」「姉妹丼にでもしてるのかな」
などとコソコソと囁かれている。
「じゃ、こっち来て」
「密室だけには連れてくなよ」
手招きをされる愛ちゃんに、俺は素直に付いていく。もし空き教室などに入るなら、俺は愛ちゃんだけ押し込んで外から鍵をかける。
俺たちは、廊下をただ歩いているだけでも注目を浴びていた。
「あれ恋ちゃんの妹だよね?」「なんで恋の彼氏と一緒なんだ?」
と、疑問の目が色々な人から向けられる。
それはそうだろう。
美人双子、どちらともと関わりがあるなんて学校で俺だけだからな。
それに愛ちゃんなんて、学校にあまり来ていないからレアキャラだ。そんな人と歩いているだけでも注目を浴びるだろう。
「ここでいっか」
到着したのは、1階の階段裏にある、掃除道具や机などが置かれている薄暗い空きスペース。
密室ではないが、誰にも目が付かない場所だ。
ここなら、周りの目も気にせずに、俺も警戒せずに話せるだろう。
「それで? 来てくれるよね?」
俺の胸元に顔を近づけ、上目遣いでそう言ってくる愛ちゃん。
「まだ行くとは一言も言ってないぞ」
「え、来てくれないならこの動画容赦なく流すけど」
「なんで俺は脅されなきゃならない」
「そうでもしなきゃ、凛久くん来ないじゃん」
「誰のせいで行くの悩んでると思ってるんだよ」
自分のせいなこと分かってるのか? しかもそれにも関わらず脅して来させようとしてくる。
手口が汚い。
「私、なんもしないよ」
ポカンとした顔で言う愛ちゃんだが、
「信用できるかよ」
軽い一言で俺が簡単に信用するとでも思っているのか。前科があるのに、そんな薄っぺらい言葉で信じれるわけがない。
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