第41話 安藤政輝(調整役)

 衆議院第一議員会館。

正門受付。

墨紺のスーツにマスク姿、小太りの品の良い男性が立っている。

背広の内ポケットからモンブランのボールペンを取り出し、面会用紙の氏名欄に『安藤政輝(國村 隼・イメージキャスト)』 と流れる様に書く。

用件欄には「陳情」に丸を付け受付に提出。

受付の女子職員が受話器を取り、内線番号を押して行く。


 「受付です。アンドウ・セイキ様が面会です」


中尾事務所。


 「はい。お願いします」


安藤は入館用紙を衛視に提出。

衛視は控えをちぎって安藤に渡す。

ロビーでエレベーターを待つ安藤。

エレベーターのドアーが開き、十階のボタンを押す。

ドアーが閉まりエレベーターが上がって行く。


 十階。

ビトンのセカンドバックに手土産の紙袋を提げ、俯(ウツム)きかげんに廊下を歩いて行く安藤。

すれ違う年配の男性秘書が振り返って、


 「? 安藤さん!」


安藤は立ち止り男性秘書を見て、


 「おお、矢吹さん」


矢吹が、


 「あれ、今日は?」

 「え? ああ・・・ちょっとね」

 「後で寄って下さいよ」

 「 分かりました」


 安藤が中尾事務所の前に立ちインターホンのボタンを押す。

                          つづく

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