第5話 未来の影

関ヶ原の戦いが迫る前夜、石田三成は滝如庵の茶屋で心を静めていた。茶室の暖かい光の中、滝如庵は静かに話し始めた。彼の話は信じがたいものだった。徳川が勝利し、その後の日本がどのように変わるのか、細部にわたって語られたのだ。


「徳川家康が勝つと、あなた方の時代では“江戸時代”と呼ばれる長きにわたる平和な時代が始まります。しかし、その平和の裏には、豊臣家の悲劇が隠れているのです。」


滝如庵の言葉に、三成の心は乱れた。「豊臣家が…どうなると言うのだ?」


「徳川は豊臣家を滅ぼし、自らが幕府を開きます。豊臣の名は、歴史の闇に消えていく運命なのです。」


三成の顔からは血の気が引いていく。「そんな…まさか…」


滝如庵は静かに続けた。「私が持ってきたこの技術、これが信じられますか?これが、未来の技術です。プロジェクターと呼ばれるもので、映像を映し出すことができます。」


プロジェクターからは、徳川家康の肖像や江戸幕府に関する文献が映し出されていた。三成はそれを見つめ、未来の重みを感じながら言葉を紡いだ。


「ならば、我々は勝たねばならぬ。豊臣家を守り、新たな歴史を刻まねば…」


滝如庵は穏やかにうなずいた。「あなたの戦いは、ただの戦いではありません。これは、歴史の流れを変える大いなる挑戦なのです。」


三成は深く息を吸い込み、決意を新たにした。「我々の戦いが、未来を変える…豊臣家のため、そして平和な日本のために、私は全てを賭ける。」


滝如庵は微笑みを浮かべながら、三成に敬意を表した。「あなたの勇気と決意に敬意を表します。私の知識と技術が、あなたの力となりますように。」


その夜、三成は未来の重圧を背負いつつも、新たな希望を心に宿していた。彼の前には、変革の道が広がっていた。


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