第17話 一騎打ち


 ようやく戦場に間に合ったゴブ子であった。

 

 しかしそこでは、魔王一人が勇者たちと対峙しているではないか。その雄姿に涙が溢れる。

 

 光の遺跡クリダモスが勇者の後方に整列し、100門以上の重砲を展開する。特に1番目立つのは、全長20メートルを超す黄金に輝く人型搭乗兵機だ。それが20体も並ぶ。


 絶対の力を有する魔王様に対してでも、あまりにやり過ぎだとゴブ子は思った。


 ーー突如、賢者と殺魔の大魔道が大爆発を魔王に浴びせる。それが戦いの狼煙となった。


 重砲と機関銃が、魔王を撃ち続ける。強力な対魔弾にたまらず防御する。そこに殺魔の暗殺者が光速で魔王の手首を斬る。巨大兵機が突撃を開始し、ビームサーベルや伝説の巨大武器を持ち襲う。


 更に、英雄の剣を光らせる勇者は、悪魔殺しの大剣に地獄の鎧を身に纏った殺魔の狂戦士バーサーカーと連携して必殺技を発動する。眩い閃光と巨大な爆発が起こる。


 魔王はそれを全て受け止める。そして反撃が始まった。


 戦闘は熾烈を極めた。ゴブ子はその迫力だけで意識が遠のく。


 すべての決着がつくまで2時間かかった。魔王の周りには倒れる兵が連なり、重砲や兵機が砕けて散乱していた。


 魔王は右の角と左腕が欠損し、全身から血を流している。回復魔法の無限効果という奇跡が起こり、かろうじて立っていた。


 そして勇者と、殺魔の老勇者に向かって、最後の力を振り絞り、必殺の正拳を繰り出した。意識を失い倒れる2人。ついに魔王は勇者を打ち倒した。


 魔王の勝利であった。


 ゴブ子は涙が止まらなかった。



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