第15話 お化けランプの決意


「魔王様! もうやめてください」


「うるさい、今集中している声をかけるな」話している間も戦場を把握し、瀕死の者を飛ばしている。


「それをやめるよう申しているのです!」


「我は瀕死の人を突風で殺し、傷ついた仲間を助けているだけだ」


「嘘です! 魔王様の突風で死んでいる人は1人もいません!」


「…………」


 魔王は何も言えず、視線を移しては突風の息を吹いている。


「いい加減にしてください! 魔王様の目を覚まします!」涙を流し戦場へと消えていった。


 魔王はお化けランプの気持ちも分かり、胸が締め付けられる。だが、瀕死の兵士たちを待つ家族の顔が頭に浮かぶ。お互い愛する者がいる。


 ドォォーーン!!!

 そう考えていると手前の戦場で大爆発が起こった。


 魔王はすぐにその爆発の意味を理解して、お化けランプの名を叫んだ!


 周りの兵士数十人を巻き込んだ自爆だった。木っ端微塵となったランプの破片と、人の血が魔王の頬に当たる。それに触れ、血のついた手を見つめる。自然と涙が流れ全身が震える……。


 この無駄な殺し合いには一体何の意味があるのだろうか。


「ウオォぉぉぉ! 全員一旦戻れ!」


 恐怖の波動が戦場へと響き渡り、全員の動きが止まる。そして、お互い睨み合い両陣営に戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る