第7話 それでも魔王は優しすぎる
大勢のモンスターが会場に集まる。ざわつく中、参謀長のお化けランプは声を上げる。
「それでは作戦会議を始める! 我々20万のモンスターはこれから街へと進軍する。勇者は軍勢を率いて迎え撃つだろう。現在、10万の軍人が街に集結しているという」
ざわめく会場。
好戦派のトロルボスが力強く宣言する。
「軍人など恐れるに足りないわ! 我がトロル部隊が粉砕させるぞ!」
その言葉に「おぉぉ――!」と、歓声が上がる。
戦術家のゴブリンナイトが負けずに提案する。
「街を襲うには夜襲と火攻めが効果を出すだろう!」
「おぉぉ――!」再び歓声が上がる。
それに合わせて魔王も提案する。
「火攻めは子供や老人が厄介だ! 事前に避難させ、逃げ惑う邪魔者が減ると攻撃がしやすくなるぞ! おーー!」
「おお……お……?」戸惑う声が漏れる。
ワイバーンキングが叫ぶ。
「軍人は皆、我がワイバーン部隊の凍てつく息で凍らせる!」
それに巨大ゾンビが続ける。
「そして、動けなくなった軍人全員を食いちぎり、ゾンビにしてやります……」と、気味の悪い笑みを浮かべる。
「おぉぉ――!!」と、再び沸く。
魔王は更に続けて。
「ゾンビに家族がいると面倒だ。帰りを待つ子や妻がいてやり辛い。独り身で悪事を繰り返す人間のみを、ゾンビとして我が配下にする!! それ以外は家に返すぞ。おぉ――!!!」
「…………」モンスター全員が唖然としている。
お化けランプが再び諫める。
「魔王様、あんた優しすぎるんだよ!」
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