第2話 弱みを握られる

 夜の公園のベンチで田島アキラと松崎シオリが並んで座っている。松崎シオリはクスクス笑う。田島アキラはこの世の終わりみたいな目の表情である。


「田島くんって、そういう趣味なわけ?」


「あ、今日からですね……」


「今日から? びっくりなんだけど?」


 田島アキラは松崎シオリの質問に淡々と答えるのである。弱みを握られる田島アキラ。松崎シオリはクスクス笑ってこう言う。


「マスクの下はどうなっているかなぁ?」


「あ、おっさんの顔になっています……」


 ますますクスクス笑っている松崎シオリ。


「ちょっとびっくりしたなぁ。田島くんがそんな趣味をしているなんてね」


「恐縮です……」


「それじゃ、そういう格好もなんだから、明日の夕方に服を私が選んであげよう」


 なんだか話がおかしな方向へと進んでいる。


 どうなる、田島アキラ。

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おっさん、男の娘になる 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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