富士は日本一の山。ナギは牛久大仏でチョモランマ二つ。

【再掲】第33話 今日のコーデ








  夕食後のまったりタイムから色々と脱線したものの、ようやくウィラの願いを叶えるべく銭湯へと行く支度を整える、なんとも行き当たりばったりな楽しい時間にも限りってものがある。


 流石に女子高生には遅い時間、もうすぐ21時を迎えようとしているのだから、制服で彷徨く訳にもいかない。


 お風呂セットを抱えていれば、いくらか言い訳も利くだろうけど、今日のように行く先々でトラブルやハプニングとご縁があるからね?


 制服を着ているときに限ってこれだし、ある意味で疫病神のようなものと言ったら失礼だけど……着替えた方が無難なのは言うまでもないよな?


 そんな訳でさ、あたしとウィラは変身タイム……無敵の女子高生の証である制服には休んでもらおう。


 出会った初日から、まるで昔からの親友のような感覚を共有しているあたしとウィラは、これから銭湯に行く上に同姓であるからか、なんの躊躇いもなく制服を脱ぎ始め、綺麗な色白の肌をさらけ出し、高級感の溢れる上品な下着姿を露にした。


 しかし、制服は脱ぎ散らかしたまま、持ち込んだ着替えに手をつけようとしているから、あたしは思わずウィラの制服を手に取り、ピシッと皺を伸ばしてハンガーにかけた。


「ナギ、ありがとうな……せやけどあれや、あんたはうちのおかんか?」


「ああ、ついつい気になってね……余計なお世話だったか?」


「ううん、そういう訳とちゃうねん。そらあれよ、ナギぃ、ほんまにありがとう。うちな、そういうとこがズボラであかんねん」


 なるほどね、外ではしっかりしているけどさ、単に気を張っているからだったのか、一度スイッチが切れたらこの有り様って訳ね?……全く、世話が焼けるけどさ、そういうギャップは嫌いじゃねえぜ?


 ま、下着姿のまま語られたらさ、説得力と言うか、ウィラの駄目人間的なウィークポイントもかわいいものだ……なんだろう、やっぱ今日のあたし、なにかおかしいのかもしれないね?


「ナギ、うちのことジロジロ見てどないしたんや? あんたのチョモランマに比べたらそらな、貧相なもんやろ?」


 と言って自嘲するウィラだけど、スラッと伸びた四肢はクォーター分のギフトでさ、スレンダーな締まった身体を見れば、脚の速さから身体能力の高さを秘めていることを想像するまでもない。


 あれだけ食べたのにも関わらず、綺麗に割れた腹筋が強調されたまま、むしろお膳立てになったのだろうね。


 もちろん彼女の双丘もまた美しいものでさ、やや控え目ながらも下着が映えるものだから羨ましいよ?……ま、お互いに無い物ねだりって訳だな。


「そないにジロジロ見られたら恥ずいわ!……うち、とっとと着替えるから、あんたもはよ着替えんかい!?」


 ああ、ウィラに促されたもののさ、ついつい見とれてしまったもので、ウィラがキャミソール、白のTシャツ、デニムを履いて着替え終わるまで眺めてしまったのさ?


 そうなればさ、あたしが注目の的だけど、さっさと着替えるに限るよな?


 脱いだ制服をハンガーにかけながら、手際よくあたしも下着姿になれば、さっき言われた言葉をそのまま返したいぐらいに、ウィラがこちらをマジマジと眺めてくるものだからさ……ああ、見られていると、意外と恥ずかしいものなんだな? HAHAHA!


「あんたほんまにサラシ巻いとったんやな? めっちゃ慣れてる感じもあるんやけど、胸を潰してこうなん?……ナギ、うちな、銭湯がめっちゃ楽しみやで?!」


 ウィラの興奮する様子にさ、あたしは恥ずかしさなんて気にするまでもないってか?


 上がサラシ故に上下を揃えなくてもいいアンダーウェアだからさ、ショーツは殆ど薄いショートパンツ感覚に近いものと化している。


 白のサラシとかけ離れすぎない程度の色合いで、単色で暗色系のレギュラーショーツが一番しっくりくるからさ、色気には期待しないでくれよ?


 さて、あたしはサラシ巻きだからキャミとか気にしなくてもいいだろうし、直にTシャツ、ハイウエストワイドパンツのラフなコーデだ。


 ま、あたしがラフな格好をする分にはありきたりだけど、高貴なお嬢様っぽいウィラのラフな格好がさ、思いの外似合っているばかりか、いいギャップを生み出しているから同じラフな格好でもさ、ここまで違う毛色になるものだから奥深いよな?───。







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