【再掲】第31話 脱線








  あたしの大きなメロン二つに興味津々なウィラに対して、ちょっとしたクイズを考えた。

 

 ウィラが利用したことあるのかはわからないけど、間違いなく頭のいい彼女の事だ……今はちょっとだけ、おっさん化が進んでいるけどね?


「ナギのチョモランマの秘密なぁ~、気になってもうてうち、このままやと夜しか眠れへんで?」


「おう、普通に寝てるな?」


「「HAHAHA!」」


 駄目だこのおっさん、早くなんとかしないと悪化することだろう。


 早いところ出題しないと大変なことになる。


「そらな、睡眠の方が大事やからな?」


「確かに……ところでウィラ、富士山は見たいか?」


「あんたいきなりなに言うとるんや? ここにチョモランマがあるやろ?」


「ああ、なんと二つもあるぜ?……って、そうじゃねえよ!」


「「HAHAHA!」」


「冗談や、あんたもノリ突っ込み冴えとるやん?」


「関西人に褒められて光栄だよ。それで富士山はみたいか?」


「せやな、寿司、天ぷーらも追加してええか?」


「ウィラ、ご飯ならさっき食べたでしょ?」


「「HAHAHA!」」


「冗談や、うちまだそないな歳とちゃうで?」


「All right, クォーター分のジョークだろ?」


「ナギ、あんたうちのことようわかっとりますなぁ? ほんでクイズなんやろ?」


「お前、本当に頭がいいな? そうだよ、そんなウィラに問題だ。富士山が見れて、なおかつさっきのお前の願いが叶う場所がある……それはいったいどこなんだろうね?」


「おっ、ほんなら当てにいってええか?」


 なんとなくイメージぐらいは湧いてくるだろうし、ウィラには優しすぎる問題かもね?


 その割には悩んでいる様子だし、ウィラの性格的にもうワンクッションあってもいいかもね?


「賢いウィラちゃんには簡単だろうな?……だが、それじゃあ面白くないだろうし、もう一回ボケてもいいぞ?」


「ナギぃ、ほんまにうちのこと、ようわかっとりますなぁ? そら簡単すぎるんやから、もう一回ボケようか悩んどったんやで?」


 やっぱりと言うのか、ウィラの楽しみたい、楽しませたい気持ちが伝わって来ていたのを感じた通りだ。


 おいおい、今日出会ったばかりなのにここまで通じ合えるなんてさ、本当……人生って面白いよな?


「ナギ、今からでも航空チケットって取れるんか? 羽田から伊丹までやったら富士山見えるかもしれへんな。ま、飛行機のチケットがあれやったらな、新幹線の自由席ならいけるかもしれへんで?……ナギ、ボケッとしとらんではよ行くで?」


「そうだな、ところでお前……さっきの願いは?」


「あぁ~、それやとナギのチョモランマの秘密、どうやって解明すんねん? ポロリ期待してもサラシ巻いとるから無理やな……どっかで脱げばエエんとちゃうか?」


「おい、なに勝手にあたしを変態恥女扱いしてんだよ?」


「「HAHAHA!」」


「ほんならナギ、車手配してくれへんか?」


「ああ、一応単車と車なら運転出来るぜ?」


「そらええな!……って、なんでやねん! あんたまだ免許取れる年齢とちゃうやろ?!」


「あたしさ、今月の19日が誕生日だからさ、単車の免許なら取りに行けるぜ?」


「ほんまか? そら誕生日祝わなあかんな!

ナギ、プレゼントはなにが欲しいんや?……って、あんたそれまで無免やないかーい!?」


「「HAHAHA!」」


 全く、流石は日独系狐顔美人の関西人だけあって、キレッキレのボケとツッコミだね?


 富士山が見れる場所ってお題から、ウィラが飛行機、新幹線と順当にボケてくれたものの、車と来たから思わず口を滑らせたらさ、とんだやぶ蛇だぜ?


「そうそう、とりあえず教習所通うか、合宿にしようか迷うぜ?」


「せやな、はよ免許とらなあかんな……って、なに話逸らしとんねん!? あんたが元ヤン言うてもな、それ内緒にせなあかんで?……ナギぃ? あんたなに目ぇ逸らしとんねん? うちな、怒らへんからこっち見ぃや?」


 ああ、まさに正論だね?……ま、ここは多く語ることもないだろうし、なんとか誤魔化そうとするあたしの視線は右へ左へ。


 さっきのウィラが見せた、気恥ずかしさからくる時の反応とは違ってさ……ああ、こいつ怒らせたら怖いタイプだ……そんなウィラがさ、半笑いと言うか、口角が吊り上がって笑顔そのものなんだけどさ……目が笑ってないんだよね?


 まったく、クイズのはずが……飛行機、新幹線と来ただけに、とんだ脱線だよな?───。







  ───おまけ。




  オッラ!


 香坂 凪沙は、青春の一ページを刻み始める。 ーリトルビッチ・アンタッチャブル Days1 こうして二人は親友になったーをここまで読んでくれてありがとう!


 本作の作中において、ナギが無免許運転を匂わす発言があったね?


 もちろんこの作品はフィクションであって、創作におけるキャラクターのフレーバー要素にしか過ぎないけど、例えばそうだね……みんなの住む日本国だったらさ、道交法第64条(無免許運転の禁止)を違反しているし、重い刑罰が課せられるんだ。


 だから、これはあくまでフィクションであり、みんなはちゃんと免許を取得して、安全運転をするんだよ?


 わかったね? ラティーノとの約束だぞ?


 それじゃ、また会おうな? アディオス!───。







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