【再掲】第14話 NINJA!
◇
食事中のトラブル?
ああ、そう言えばそんなこともあったかもね?
ま、騒ぎが大きくならないうちにすぐ謝ってくれたからさ、たまには体育会系ならではの礼儀ってもんも悪くはないさ。
「ナギ、あんたよう食えるな? そんなに食うたら肥えてまうで?」
「ああ、未だに成長期でね?」
「いや、これ以上デカなってどないすんねん?」
「「「HAHAHA!」」」
さっきは舐めたチキン野郎達に腹を立てていたけどさ、あたしらの席だって認めてくれたし、それどころか快くタダでデリバリーしてくれたものだからね。
それで……揃いも揃ってチキンカツ定食かよ?
ま、お似合いだったと思うぜ? HAHAHA!
そんな訳でさ、ウィラとあたし、それから一悶着のあったどさくさに紛れて隣の席を確保した奴と山分けしたのさ。
「あざっす、タダ飯最高っすね」
「そらうちらだけやと食いきれへんし、もったいないからあんたも食べ? ほんであんた、パンと牛乳だけやとあれやな、張り込みでもしとるんとちゃうか?」
「刑事ドラマは好きっす……それよりもっすけど、日本語大丈夫だったんっすね?」
「「「HAHAHA!」」」
同じ一年生だったのもあってか、あたしらの隣なら気負わなくてもよさそうだったのか、あるいはさっきのトラブルを観察したところ、用心棒として最適と判断したのかはわからない。
この眠そうと言うのか、または気だるそうなタレ目が特徴である彼女の観察眼、抜け目のなさは天性のもの。
まるで忍者のようなスニーキングスキルで神出鬼没であることに、今後驚かされることになるとは……ま、それは未来の話で、この時のあたしらはまだなにも知らないんだ。
とにかく、こいつもまた、あたしらとご縁が深くなるって訳さ?
彼女の名前は、小幡 上総(オバタ カズサ)。
さっき紹介した通り、眠そう、気だるそうなタレ目が特徴だ。
ウィラよりほんの少しだけ背が低く、何故かタメのあたしたちに対しても後輩口調だ。
出身は群馬県で、彼女もあたしとウィラと同じく越境組だ……ま、仲良くやっていこうぜ?
そんな彼女は、あたしとウィラのクラスのお隣さんらしく、ヤバい一年生がいると言う噂も既に広がっているらしい。
おいおい、あたしらはトラブルに巻き込まれているだけだぜ?
「ほんじゃ、あんたのことはカズサちゃんと呼ぶわ」
「よろしくっす、ところでフォンさん」
「いや、そっちかい! ミドルネームで呼ばんでええっちゅうねん」
「「「HAHAHA!」」」
ま、あたしは彼女の事を"小幡"って呼び捨てで言うのが定着化する訳だが、小幡はなんていうか、とてもマイペースなんだ。
あたしらに全く動じないぐらいにね?
「うっす、姐さん、ゴチになったっす」
「おい、誰が姐さんだよ? 小幡、あたしらはタメだろ?」
「姐さんは姉御肌っすからね。虎の威を借りた方が楽っすから、姐さんって呼ばしてもらうっす」
「おいおい、参ったね?」
「うちはケツネやからちょうどええな?」
「「「HAHAHA!」」」
楽しい昼時は無償で追加オーダーも得られたことだし、充実したものだった。
あたしは大盛りのきつねうどんを二杯は流石に多すぎると言うのか、ウィラにお揚げ一枚と共に麺を少しばかりは託したよ。
そうしたらさ、ウィラの幸せそうな笑顔がますます輝くものだから……本当にお狐様の化身なのかもしれないな。
チキンカツ定食3つ、そのうちの一つは小幡に、残りはあたしとウィラで分け合って……はあ、さっきのチキン野郎共も流石に運動部だけあって、ご飯が大盛り。
あたしとウィラ、小幡の一年生三人組は、今日はもう終わりだからゆっくり出来るだけに、なんとか完食するに至ったけど、端から見たらあたしはフードファイターか?
ま、味変としてさ、チキンカツをおつゆに浸して食べるのもなかなか悪くないぜ?
それじゃ、ごちそうさまでした───。
◇
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