第6話


「ひゅー。中々様になっているよ」


監督は俺をひとしきり囃し立てた後来崎茜とともに映画の台本を持って何処かへと言ってしまった。完全なボッチの完成である。


と思っていたのも束の間、女優と思われる人が俺に話しかけてきた。高校生だとは思うが、多分年は同い年か、一個下。気の強そうな見た目だ。アイドルと言われても遜色ない見た目だ。来崎にも引けを取らないほどの。今を煌めく有名人だとは思うが、テレビ見ないから分からないんだよなぁ。


「あんた、茜とどういう関係?」


見た目通り気が強い性格らしい。


「わからないです」


とりあえず、初対面には敬語。これが俺が誇るインキャ術である。


「なにその敬語?茜には敬語を使ってなかった癖に。なんかむず痒いから敬語はやめてよね年も同じくらいでしょ?」


こう言ってくれている事だし、敬語は抜きにしよう。


「わかったよ。年は17歳だけど」


女優が若干驚いた顔をする。


「あんた大人びてるからわかんなかったよ。年下なんだ?ってか年をきくってことは私のこと知らない感じ?」

「残念ながらテレビは見ないんでな」


この感じ結構有名人らしい。


「ブルーナイトって知ってる?」

「いや、全く」


全く聞いたことがない。俺が疎いのか、ブルーナイトの知名度がないのか。おそらく前者なんだろう


「私は高校生限定のアイドルグループ、ブルーナイトでセンターを務めてる西宮奏。それでなんであんたこの場にいるの?」

「どういうことだ?」


俺もどういうことか教えて欲しい。いきなりエキストラに抜擢された挙句、来崎茜と会話することになったんだから。


「あのね、この作品実はエキストラを採用するなんて話は一切出てこなかったのよ。今更になって監督が無理やりねじ込んだ。顔はそこそこだけど、やっぱり監督の意図は全くわからない」

「俺も分からないから安心しろ」

「はぁ、それだけ世間に疎かったらこの映画のタイトルすら知らないんじゃないの?」


その通りである。亮に聞いとけばよかったと後悔してる最中である。


「知らないから教えてくれ」

「分かったわよ、映画のタイトルは、超絶コミュ症の俺が超絶可愛いあの子に好かれるなんてブフォぉぉっていうやつ。略して、ブフォ恋」


なんだこのタイトル。なんで映画にしようと思ったら?しかも嫌な略し方だな。映画にするならブフォぉぉ抜いてくれ。こんな映画に出たくないんだが。


「なんだよ。そのブフォは」

「私に聞かれても知らないわよ。元々漫画が原作で合計売り上げ本数1億を超えて、社会的現象になった作品よ」

「なんでこのタイトルで流行ったんだよ」

「私に聞かないで。内容が深すぎることで話題になったらしいけどね」


タイトルが浅すぎて、どっちにしろ内容が深く見えただけだろ。


「なんでこんなキャスティングがいいんだ?」

「それはね来崎茜の200作目になる作品だからよ。それとね、作者が来崎茜の大ファンでね、ヒロインが来崎茜じゃなきゃ、許可は出さないってごねたのよ。来崎茜が出るならキャスティングも豪華にしないといけない。それが今の映画界隈のルールなのよ」


来崎茜どんだけ映画に出てるんだよ。一日どれだけ映画を撮るんだよ。過労死するぞ。真面目に来崎茜を心配する俺だった。


「本番の準備お願いしまーす」


突然、スタッフが大声で開始を知らせる合図を出す。西宮はきびきびと歩き始めたが、途中で引き返して、


「そうだネクタイずれてるわよ」


といい、俺のネクタイを締め直してくれた。本日2度目の美女の急接近にまたもや心臓がバクバクする。

あれ、こいつこんな可愛かったっけ。


今更だが、急接近したことにより一段と可愛さを再認識してしまっていた。


「じゃあね」

「……またな」


西宮は自分の席へと戻る。席の場所で言えば、ドア側の一番後ろの席。来崎茜を見ると窓側の一番後ろ。主人公と思わしき人物は、来崎茜の一つ前の席だった。


で、俺はどの席に座れば良いんですかね?







————————————————————

後書き!!

十万文字無理かも。モチベがないです。

星で評価して頂たのなら泣いて喜びます。


それと久しぶりに星を頂きました。代表作の方の更新が滞っていまして、そちらを楽しみにしていた方は本当に申し訳ございません。小説を更新できる状況にはなってきていますが、とりあえず十万文字いくまでは待ってください。


っていうか今一万文字ですので、二乗したら

√100000ですよね?やったね!

🎊祝√100000文字!!


ごめんなさい調子乗りました。本編もネタ要素強くしたくなかったのにいつのまにかブフォとかいう単語を入れてました。ごめんなさい。



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