第4話

———その日の放課後。


「やぁやぁ、ちょっといいかい?」


俺はジャージに身を纏ったふしだらな残念美人に引き留めらていた。眼鏡に隠れた顔だけ見ると超一流。髪はボサボサ。ジャージですらきちんと着こなしていない。高校指定のジャージではなかったため、大人だとわかる。映画の関係者かと当たりをつけた。


「えっと、なんですか?」

「君、映画に興味ない?」

「はい?」


映画?どういうことだ?


「ちょっとごめんね」


そう言うなり、一瞬で俺の前髪を掻き上げる。若干驚いた様な顔をしながらも腕を組み、うんうんと1人で頷き始める。


「これならいけるかな」


意味がわからない。なんなの?この人……


「うん、決めた。君エキストラとしてうちの映画に出てくれない?」

「っ!?ちょっと待ってください!」


そもそもなんで俺が映画に出ることになっているんだ?この人俺の事を狙って誘っていた。まるで俺の事を知っているみたいに。


「あぁそうそう自己紹介がまだだったね。うちはこういうもん」


そう言ってポケットに手を突っ込み、名刺を差し出してくる。ポケットに入れてあったはずなのに名刺に折れ目が一切ついていなかった。これを凄いと思うのは俺だけだろうか。なんて事を考えながら名刺に目をやる。


「———映画監督!?」


驚きだ。まさかこんなに若い人が映画の監督を務めてるなんて。この人実は凄い人なんじゃなかろうか。


「よく驚かれるんだよねん。なんでかなぁ」


あんたの容姿のせいだろと突っ込みたくなった


「ま、それで返事は?」


映画のエキストラという仕事。こんな大役俺に務まるとは思えない。俺が断ろうとすると


「来崎ちゃんとお喋りできるチャンスかもよ」


来崎茜。俺の人生で2人目に目を引いた人物。これで「———」との恋心が薄まるかもと若干期待をする自分もいた。「————」は諦めるべきだ。明らかに俺とあいつじゃ釣り合っていない。いや、それ以前の問題だ。この恋心を忘れるためなら———。


「わかりましたよ。その話受けます」

「ふーん、いい返事ねん。じゃあ明日から撮影に入るから呼びにいく。学校にも伝えとくから」


そんなこんなでエキストラとして映画に出る事に決まった。


「———ってことがあったんだよ」

「おいおい、、まじかよ。達也。いいなぁ」


その日の放課後亮と電話をしていた。


「生来崎茜見れたみたいだし、俺と違って達也って運良くね?」


俺と違って野次馬達に弾かれた亮は来崎茜を見れていない。


「ま、たまたまだって」

「謙遜するなって。あっ、そうそう映画の撮影がどんな感じだったとか、来崎茜のこと教えてくれよ?」

「分かったよ」


その後も俺と亮ととりとめのない会話を続けた。



—————————————————————

後書き!!

まずは謝罪からを。ヒロインちゃんと接点をこの四話で作るって前話で書いたはずなのに接点作れませんでした。いや、書こうと思えば書けたんですが、長くなりそうだったので一旦切り上げることにしました。申し訳ございません。

今日中にはもう一話頑張って更新します。


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