第3話 這い上がれどん底助手
さて、この章では私がどうやって正式復帰に漕ぎ着けたか話していこうと思う。
地方自治体によって異なるが、教員が休職した場合、職場に正式復帰するにはいくつかの関門を乗り越えなくてはならない。私が直面した関門は「2ヶ月程度の復帰プログラム」と「主治医以外の医師(県指定)の診察」「県の保健審査」の3つだった。しかし、この関門、復帰プログラムが死ぬほど難関なのだ。というのも、精神疾患によって磨り減るのは精神だけではない。うつで動けなくなったり眠れなくなったりするため、体力も大幅に削られる。だから、病気をする前普通にできていた日常生活、朝時間になったら起きて身支度やらして出勤する、ということが非常に難しくなる。そのため、私は休職中、2回復帰プログラムに失敗してしまった。では、何が成功に導いてくれたのか?それは、「リワーク」と言う精神科でのデイケアだった。
しかしねえ、このリワーク。死ぬほど退屈だったのよ、マジで。まずリワークでは、朝ラジオ体操をやってから、百ます計算と新聞のコラムの音読をやる。大の大人になってからラジオ体操やるなんて思ってなかったわ。あと、百ます計算も。寝ぼけ眼で無理やり頭を叩き起こされてる感あったよね。そんで新聞の音読も、朝から誰かをdisる内容なんか読んで良い気分になれねーっておい。名字の言読んだほうが絶対前向きになれるて(素性バレるね)。
そんで午前中はオフィスワークと言ってデイケア室にある自己啓発の本読んだり、なんで自分が休職したか分析しろって言う作文課題をやったり、塗り絵やら計算ドリルやら漢字ドリルやらやるのよ。でも、総じてつまらなかった。眠かった。自己啓発の本は結構良い本もあって勉強になったけど。個人的に、アンガーマネジメントとアサーション(意味はググれ)の本はめちゃくちゃ参考になったし、ゲイの精神科医Tommy先生の本はがちでおすすめしたい。あとは、実際に精神疾患から復活した人の体験談も良かった。だから、ぶっちゃけリワークは、そういった類の本を読んで、良いと思うことはノートに書き写していって、思い出したときに復習、みたいな感じで読み直すのが一番効率よく過ごせると思う。じゃなきゃね、作文課題の医師からのコメントがいつ返ってくるかわからんし、計算ドリル漢字ドリルなんて簡単すぎて笑うしかないから、ど真面目にやる方が疲れる。リワークはある程度のストレス耐性をつける場なんだけど、すでにこの時点でストレスマッハ。行くたびにいやーな感じしてたと思う。
午後からは、講義とかグループワークとか瞑想とか太極拳とかボッチャというボーリングとカーリング合わせたようなゲームをやってた。講義は、「認知行動療法」という、自分を客観的に見つめる訓練をしてた。講義はくっそつまんなかったけど、実践の本を見ると割と人に勧めたくなるスキル。まあ、講義は死ぬほどつまんなかったけど。
個人的に良いなって思ったのは太極拳。ストレッチと筋トレを合わせたような動きで、全身の歪みが分かりまして。これじゃあ病むわって骨格になってるのが分かりました。YouTubeで検索してもできるのでおすすめ。
でもね、リワークはあくまでも職場に帰るためのリハビリテーション。なのでこれは本業じゃない。私が通った場所には、リワークをめっちゃ真面目に受けてる人がかなりいた。てか、リワークが仕事だと思ってる人が多かったように思う。私が不真面目な遅刻常習犯だったからかもしれないけど、何か履き違えてるような気がしてならなかった。でも、そういう人に限って卒業の気配は感じられない。だから、私がリワークを(半分無理やり)脱出できたのは、「リワークより仕事行ったほうがマシ!」と思えたからかもしれない。それで、2ヶ月程度の復帰プログラムを乗り越えることができたと思う。もちろん、体力はあまり回復していなかったため、復帰プログラムは体力的に非常にしんどかった。毎日が眠気との戦いだった。でも、机に向かって仕事を始めたとき、あの退屈なリワークとは違って、なんだかワクワクしたのを、今思い出した。読者の皆様の中には、リワークに今通っている人やこれから通う人もいらっしゃると思う。なので経験者の私から一言。
リワークは、真面目にやらなくていい。1日フルじゃなくて半日でも良い。友達作らなくても良い。でも、本は読んだほうが良い。そんで、刺さった内容はメモっといてください。それが復帰後のあなたの支えになることは間違いないから!あと、他の利用者さんのリワーク体験を聞く機会があったら真面目に聴いといたほうが良い。そっちの方がリワークのヒントになるから。大体みんな賢くて真面目な人が多いです。だから、病気になるまでの経緯とかも似てるかも?
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