第6話 つむぎの客

 姫予約をするようになって、なかなか新規の客がつけなくなってしまったことで、しばらくは、リピーターだけで、毎回完売だった。

 しかし、そのうちに、そのリピーターの予約が少しずつ鈍ってきたことを感じた、

 というのも、ツイッターのDMで、

「これから、今回のスケジュールをアップします」

 と書いて送っても、今まであれば、その日でほぼ完売していたのに、次の日以降の残っていることに気が付いた。

 さらに、そのうちに、

「はじめまして」

 のお客さんが増えてきたことに気づいたのだ。

「あれ?」

 と、客層の流れに若干の変化があることに気づいた。

 しかし、相変わらず、当日になれば、完売するペースは変わらない。

「新規が入ってきたんだ」

 ということが分かってくると、

「なぜなのか?」

 ということを考え、最近のお客さんが誰なのかということを調べ始めた。

 お客さんの名前というか、ニックネームをメモに残すようにして確認してみると、DMを送った相手で、1,2人が月に数回利用してくれていたのに、来てくれていないことが分かった。

「どうしたんだろう?」

 いろいろな理由があるだろうが、時期的なことを考えると、二人が来なくなったのを思い出すと、ちょうど同じ時期であり、その時期がいつなのかということを考えると、

「ああ、そうか。転勤の時期だったんだ」

 ということであった。

 そういうことを考えると、つむぎはお客さんのパターンを調べるようになった。

 例えば、

「年に二回のいわゆる、

「半期末」

 と呼ばれる時期は、普通の会社では、

「転勤の時期」

 であるということ。

 さらに、5月のGWの時期、そして8月のお盆、10月の、シルバーウイーク、そして、正月と、まとまった休みがある時は、県外の客が旅行などで多いということ。

 そして、新規の客で多いのは、出張などで、これも他県からの人が多いということ。

 もちろん、そんなパターンを知っていたからといって、それが何になるというわけではないが、会話の糸口にはなるだろう。

 今まで、ソープランドにいた時のつむぎは、そういうことを一切考えず、

「ただ客に身体でサービスをすればいいだけだ」

 と思っていた。

 しかし、実はそうではなく、時間時間の合間の会話が大切であるということを分かっていなかった。

 当然、お風呂の用意をしたり、ローションの用意をしたりするのに、客を待たせてしまうことがある。

 本当はそういう時の、客に対して会話をすることで、客との間の距離を縮めることをしないと、客を待たせてしまうと、その後の進行もぎこちなくなってしまい、客もどうしていいか分からなくなってしまう。

 客に対して、

「えっ? もうこんな時間なの? あっという間だったじゃない?」

 というくらいに思わせれば、また客も来てくれるというものだ。

 そういうことを、ソープランドにいる頃には分かっていなかったのだ。

 だから、つむぎは、リピーターはほとんどおらず、新規の客を、スタッフが気を遣って回してくれるような感じで待機が多かった。そのため、ついつい他の女の子に対して妬みのようなものを持ち、スタッフに愚痴を零していたのだ。

 そうなると、そんな話はスタッフを通じて、他の女の子にも伝わるもので、考えてみれば、

「私の相手をしてくれるのだから、スタッフは人気嬢に対しては、もっと気を遣っているに違い合い」

 と考えるのも当たり前のことであろう。

 そんなスタッフや客に気を遣うのも結構大変であったが、やってみると、結構うまくいくものだった。つむぎは、中には嫌な客もいたが、基本的に常連なので、結構ため口を聴いたりと、楽しい時間を過ごせたのだった。

 しかし、逆に仲良くなってしまうと、中には、

「勘違い野郎」

 というのもいるもので、一歩間違うと、

「自分が好かれているのではないか?」

 と思い込み、毎回の差し入れも、次第にエスカレートしてくる。

 最初の頃は、ドリンクやスイーツなどをお店で買ってきてくれていたのだが、そのうちに、贈り物がエスカレートしてくる人もいた。

 中には、手作りのスイーツなどを持ってくる人もいて、

「一緒に食べよう」

 という人もいる、

 まだ、一緒に食べようという人はいいが、

「食べてごらん」

 といわれるとゾッとする。

 なぜなら、何が入っているか分からないというのがあるからだった。

 さらに勘違い野郎の中には、自分の好みの下着を買ってきて、

「これに着替えてプレイしよう」

 などという客もいる。

 完全に、自分の好みの押しつけであり、それだけ女の子を、まるで、

「自分の奴隷」

 のように見ているということだ。

 確かに、SMプレイなどでは、

「ご主人様」

「奴隷」

 などと言って、プレイすることもあるが、それはあくまでも、絶大な信頼関係を築いた後のことである。

 たまにしか来ない客に、奴隷扱いされるなど、とんでもないことで、そんなことを言われると、

「NG客として、次は出禁にしてもらおう」

 ということになる。

 店に予約を入れる時、最初にネット予約から入る場合、例えばこのお店の場合であるが、まず、登録の際に、電話番号を入力させる。

 そして、店側がその番号と見て、連絡を入れるのが、まず最初、その時に予約が確定ということになる。

 つまり、本人確認という意味で電話を掛けるというわけだ。

 その時に、以前NGになった客であれば、その時点で、お断りをすることになるのだろう。

 もちろん、電話対応には、それなりの対応方法があって、人にもよるのかも知れないが

正直にNGになった理由を言って、それでお断りするパターン、あるいは、

「今日は急に体調が悪くなった」

 などというパターンがあるだろうが、後者は現実的ではない。その後の時間帯で彼女が予約を受け付けていたりすれば、すぐにばれてしまうからだ。

 ただ、もっと難しいのは、

「お客が、近親者」

 だった場合である。

 この場合は、絶対に本当のことが言えないからだ。本当のことを言えないから、お断りしているのだから、どうすればいいのか、難しいところである。

 他の女の子を進めるわけにもいかないし、とにかくその日は、うまくいって帰ってもらうしかないだろう。

 ただ、客が粘着だった時が厄介である。

 出禁になる人も厄介である。

 たぶん、そんな人はここだけではなく、他の店でもNGをやらかして、出禁になっているのだろう。そのうちに行ける店がどんどんなくなってくるわけだが、今では、店ごとの情報交換もSNSなどを使ってできているだろうから、どこかで一か所出禁になったら、もう他では入れないことになるだろう。

 また、出禁になる客も頭がよかったりする。最近はスマホも安くなったので、スマホを数台持って、電話番号もいくつかあるので、それで何とか命をつないでいる人もいる。

 普通に考えれば、

「そこまでするなら、出禁になるようなことをしなければいいのに」

 と誰もが思うだろう。

 誰もがルールを守って遊んでいるのに、一部のひどいやつがいると、とんでもないことになるというものだ。

 そういえば、つむぎの店で運転手をしている中年の男性がいるのだが、彼がいうには、

「私がまだ、若かった頃、ヘルスに遊びにいったことがあったんだけど、ちょうどサービスを受けている時、隣の部屋から、ガタガタというすごい物音が聞こえてきたんだよね。そのうちに、男性の罵声が聞こえてきて、客をなじっているようだったんだ。そのうちに、このまま帰ってくれ。そして二度と来るんじゃないって叫んでいたんだ。俺は何が起こったのか分からなかったけど、相手をしてくれた女の子が、きっと、男が無理やりに女の子が嫌がる行為をしようとしたんだろうというんだ。そして枕もとのナースコールのようなボタンを見せてくれた。それを見て、ああ、なるほどってピンと来たんだよな」

 といっていた。

 それが、NG行為で、出禁になることだったのだろう。

「そういえば、ソープにいた時もベッドの横に、緊急ボタンがあったっけ。自分に当たる客に、そんなひどい人はいなかったので、推すようなことはなかったが、人によっては、ボタンを押して、スタッフが対応するつということがあったんだろうな?」

 と思ったのだった。

 つむぎは、デリヘルに移って、ソープに比べて危険などことだということは分かった。何と言っても相手のところにこちらから赴くのだから、それも当たり前のことである。

 それを考えると、

「ヤバイところにきたのかな?」

 と思ったほどだった。

 しかし、移籍してきてから、数か月は問題なく行けたし、客層も比較的よかったので、本当に楽しい毎日だった。

 まるで、自分がアイドルにでもなったかのような気がするくらいで、あまりアイドル業界など知りもしなかったが、店からも客からもちやほやされると、女の子は舞い上がってしまうというのは、本当のことのようだった。

 そんな時、つむぎに、粘着客が静かに近づいていたことを知らなかった。

 その男こそ、完全な勘違い客で、つむぎに対して、ストーキング行為をしているのだが、そのことを悟られないようにすることが天才的だったといってもいい。

 しかも、つむぎの場合は、

「私の客は皆さん常連だから、私に変なことをすることはない。何しろ私はアイドルだから」

 と思っていた。

 つまり、アイドルとは、ファンとの距離は微妙な距離であり、

「触れるか触れないか」

 という距離が微妙であることで、決して、

「犯すことのできない結界」

 が存在するのだと思っていた。

 ただ、それは完全に、つむぎの頭の中の。

「お花畑」

 でしかなかったのだ。

 確かにほとんどのファンは、そうやってルールを守っている。特にファンクラブでは、そういうルールがかっちりしていて、応援するにも彼らなりのルールが存在する。だから、ファンの間でそれぞれに抑止力が働いているので、おかしなことをする人はそんなにいないのだ。

 しかし、それはあくまでも、メジャーアイドルの場合ではないか。

 コンサートと言えば、警備員が至る所にいて、ファンの暴走を防いでいる。しかし、地下アイドルなどはどうだろう?

 狭い会場に、人気がある地下アイドルでは、人がごった返している。そのため、もし、そこで誰かがナイフを取り出せば、それだでまわりはパニックになり、誰かれ構わず、被害者が出ることだろう。

 そんなところに、いちいち警備員はいないだろう。

 いたとしても、アルバイトだったり、点々といるだけで、狭いところで、密集していれば、どうすることもできない。

 下手をすれば、近づくこともできないに違いない。

 風俗業界というのは、そんな地下アイドルに似ているのではないかと思っていた。

 地下アイドルというのは、プロスポーツ界でいうところの、

「二軍」

 のようなものだといってもいいだろう。

 しかし、実際には少し違う。

「今のアイドルは、歌だけではなく、バラエティであったり、リポーターなどの仕事もあったりで、いわゆる、

「マルチタレント」

 のようになっている、

 しかし、地下アイドルというのは、その中でも、

「アイドル本来の、歌やダンスだけを集中的に学んだり披露することで、メジャーを目指す」

 というものである。

 ある意味、それは、

「極める」

 という意味で、

「アイドルよりもアイドルらしい」

 と言えるのではないだろうか?

 しかし、今のマルチタレント化というのも分からなくもない。

 プロスポーツなどでもそうなのだが、アイドルもスポーツ選手も、

「寿命」

 というものがある、

 年を取ってからできるのもではなく、いずれば引退。(アイドル界では、卒業というらしいが)

 それが待っていることを考えなければいけない。そんな時、

「野球しかやってこなかった」

「歌しか歌えない」

 となった時、選手であれば、コーチ監督の道もあるだろうが、それでも、一部の人間だけで、ほとんどは、路頭に迷うといってもいい。

 下手をすればケガでもして、数年で引退ということになれば、それこそ、民間の企業に、

「転職」

 という形しかない、

 アイドルの場合はもっとひといかも知れない。

 テレビ局やプロデューサーなどが使ってくれないと。芸能事務所でも浮いてしまい、仕事が回ってこない。

 アイドルには、コーチも監督もない。もし何かをするとすれば、それだけの資格であったり、放送局に対しての人脈によるコネのようなものがなければ、まったく使ってもらえなくなるだろう。

 それを考えると、アイドルは、プロスポーツとどっこいくらいに、難しいかも知れない。

 だからこそ、アイドル時代に、

「少しでも、いろいろなことをさせて、そこから新しい道を築けるようになっておけば、そこから先は本人たちの問題だ」

 ということである。

 つまりは、

「アイドルを続けながら、新しい道をすでに模索している」

 というわけで、これもある意味画期的だと言えるだろう。

 昔アイドルや汪御所歌手などで、今芸能界に残っている人は、いろいろな才能を持っていたりする。

 たとえば、

「世界的な絵のコンクールに出品できるくらいに絵の才能がある、汪御所演歌歌手」

 であったり、

「政治の勉強をして、政治家になった人」

「アイドルを卒業してから、アナウンサーになる」

 という人も結構多かったりする。

 さらには、「

「実業家になり、自分でプロダクションを立ち上げる人だっているではないか」

 アイドル界だけではなく、水商売などで、キャバクラで稼いでいる人などは、ほとんどのナンバーワンといわれるような人は、

「自分の店を持つ」

 という夢を持っているから、頑張れるのだ。

 そんなことを考えると、

「私は、今のことだけで精一杯だわ」

 とおもうのだった。

 確かに言われてみれば、ソープにいた頃も、

「私には将来やりたいことがある」

 といっている人も結構いた。

 そういう人は、決してへこたれることはなく、いつも前向きで、店から言われたこと以外で、自分独自のキャンペーンのようなことを、自費でやってりしていた。

「そういうことができる人だから、ナンバーワンになれるんだわ」

 と思った。

 何よりも、次々にいろいろなアイデアが浮かんでくることが素晴らしい。

 つむぎには、そこまで考えが回るわけもない。

「何とかその日をやり過ごせばいいんだ」

 と思うからであり、そう思うことで、何とかその日一日を過ごしていた。

 だから、仕事が終われば放心状態。先を見ている人はそこから、いろいろ考えるというのに、仕事が終わるとエネルギーが残っていない。

 つまり、

「人気があったり、目標のある人は、仕事で目いっぱい労力を使い果たすわけではなく、余裕を持っているということであろう。それはきっと、自分の力量が分かっているからで、普段から自分を見つめることができるからなんだろうな」

 と、この店に移ってから、指名がどんどん増えてくることで分かるようになった。

「私は、これまで、風俗で働いていることに後ろめたさのようなものがあって、仕事を離れると、なるべく考えないようにしようと思っていたからこそ、うまくいかなかったんだろうな」

 と思うようになっていた。

 そのことを考えると、つむぎは、

「今までの自分が間違っていたわけではなく、考え方を少し変えるだけでいいんだ」

 と思うようになった。

 間違いだとして自己否定してしまうと、これからも、すべて否定から入ってしまうことになるとおもうのであった。

 それこそが、つむぎの人気が上がってきた証拠であり、人気が上がってきたからこそ、分かってきたことなのだった。

 そんなつむぎだったが、自分にストーカーのような男が迫っているなどということは知る由もなかったのだ。

 そもそもつむぎが風俗で働くようになったのは、短大時代のアルバイトがきっかけだった。

 最初は、そんなことをするつもりもなかったが、悪い彼氏に引っかかってしまい、借金を背負ってしまった。

 彼氏は、とんずらしてしまい、借金だけが残されたので、

「手っ取り早く稼ぐには」

 ということで、ソープしかなかったのだ。

 そもそも、そもそも風俗に対して、いい悪いの意識もなかったので、

「しょうがないか」

 という意識で、言い方は悪いが、

「何となく飛び込んだ世界」

 だった。

 しばらくは、嫌という感覚も、好きだという感覚もなく、何とか働いていたが、就職活動がうまくいかず、就職に失敗したことで、

「就職できるまで」

 という意識で、そのまま店に残ることにした。

 店の方としても、女の子が皆卒業していなくなる時期だっただけに、続けてくれるのはありがたかった。

「ありがとう」

 といわれるくらいで、少し色を付けてくれることで、何とかなると思っていたのだ。

 最初の一年は何とか過ごせた。いくらランキングには入らないとはいえ、彼女にだって、

「お気に入り」

 にしてくれる客もいた。

「彼女の魅力は俺にしか分からない」

 とでも、思っている客が多かったのだろう。

 そういう意味で、危険と隣り合わせでもあったのだ。

 ソープだからよかったのかも知れない。

 おかげで、危険なことはなかったのだが、来てもらえないのと来てもらうのとでは、金銭的に雲泥の差だったのだ。

 そんなつむぎには、デリヘルに回ってからというもの、、

「今までの悪かった運が、一気に向いてきたような感じがする」

 と言えるほど、結構な客入りだった。

 しかも、うまい具合に常連客もついてくれたのだが、何がソープの時代と違うというのか?

 客からすれば、どこかに違いがあると分かっているのだろうが、当の本人には分からない。それは、まるで、

「自分の顔は鏡を使わないと見ることができない」

 という発想と同じであった。

 つむぎにストーカー行為をしている客は、実は妻帯者であった。そのことは、最初からつむぎに伝えていて、

「俺、家に帰れば、嫁さんいるからな」

 というと、つぐみも、

「ええ、そうなの? そうは見えないな。もっと若いと思っていた」

 と言った。

 見た目は35歳くらいにしか見えないのだが、実際の年齢は、30歳くらいらしい。

「若いと思っていた」

 という言葉は、一見、失礼にも感じるが、客が、気にしなければ、ありがたい言葉に聞こえるというのも、つむぎ自身、気にしていなかった。

 ただ、そんなつむぎの、

「罪もない言葉」

 を、気にする男がいた。

「重箱の隅をつつく」

 とでもいえばいいのか、ただ、それを本人の前では決して言わない。SNSで攻撃することもない。

 必死になって、耐えていたが、それも、思ったよりも、耐えきれるものではなかったようで、最初は、

「彼女から遠ざかる」

 というのが、一番だと思ったが、

「自分だけが遠ざかっているようで、何か癪だ」

 と思うことで、客は、結局戻ってくるのだった。

 戻ってきた時は、それまで、

「癪だ」

 と思っていたことをすっかり忘れていて、客も頭の中がリセットされたような気分になるのだった。

 というのも、

「彼女が俺を忘れてしまったのではないか?」

 という思いと、

「自分に対して、リセットしようとしているのではないだろうか?」

 という思いとが、交錯しているのだった。

 要するに、客だけが一人踊っているのだが、それを、まるで、

「彼女に踊らされている」

 という妄想に駆られてしまうと、その思いがどうしようもなくなるのだった。

 だが、そんな客をつむぎが、変に意識することはなかった。他の客がその男を葬ってくれたのだ。

 葬ったといっても、本当に殺したわけではなく、

「つむぎという女の視線から消えた」

 ということであった。

 どこでどのようにしたのかは分からない。

「ひょっとして友達だったのではないか?」

 という考えも出てくるのだろうが、その男の存在は、つむぎと、その男を葬った男との間にしか存在しないものだった。

 そう、葬られた男は、つむぎの前以外では、普通に、

「いい夫であり、いい親」

 だったのだ。

 つまりは、

「自分がいるべき世界に戻ったということで、つむぎに正対していた人格を、抹殺したということだったのだ。

 その男は、まったく顔も違っている。街ですれ違っても、分からないレベルだ。それはその男に限ったことではなく、つむぎも、つむぎを助けたその男にも言えることなのであろう。

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