第27話
今更だけど今年もよろしくお願いします
少しだけストック溜まったので放出します
※
「ウチがアンタに呆れ返るよ」
「なんでぇ⁉」
「それ、絶対ゆっこって子、冗談で告ったんじゃなくてまじコクだったよ」
「うっそだよ~」
だってゆっこが俺のこと好きになる要素どこにもないじゃんね。
「寧ろ要素しかないでしょ? つか、なんて言って告られたの?」
「えーっと。あたしと付き合って今年のクリスマスは一緒に過ごさない?、とかなんとかだったような気がする」
ちゃんと覚えていないし。
「で、アンタはなんて答えたの?」
「ん~たしか『その日二人してバイトじゃん! 一緒なのは確かだねー』みたいな?」
「アンタ、まじ、まともに答えてもいないし」
だってただの冗談だと100パー思っていたんだもんな。無理でしょ、ソレ以外の思考は。
「あれは本当にまじコクだったのかなぁ。でもどのみち、マジでもなんでもその時告白されても付き合うってことはなかったと思うな」
俺は恋人を作らないって方針が確定だったからな。
でも、そういう風に告白をさらっと聞き流したから今でも友だちとして仲良くできているのだとも思う。かっちり振っていたらもしかしたらもうゆっこはバイト辞めていたかもだし。
「はぁ……。結果オーライってわけね。その子、まだ結月に未練ありそう?」
「知らないって、そんなこと」
「ちょっとは気にしなさいよ!」
二個も下の男にいつまでも未練はないと思うけどな。普段だって本当に普通に会話しているから、そんな感情は読み取れない。
「知らんて……」
「それで、もうひとりの子は?」
「えれな? えれながどうした」
「そっちの子とは何かないの?」
何かないって、なんだか俺がバイト先の子たちと絶対になにかあるような言い方じゃないか? 前にも言ったじゃん。なにもないって!
「ハーレム要員じゃないのは確か」
「ふざけてるの?」
「じゃあ、どう答えろと? えれなはゆっこの高校の時の同級生ってことでそこそこ俺とも仲がいい、くらいなもんだぞ」
「やっぱり仲がいいんじゃん! こんなにも可愛い娘なのにアンタは何も思わないの?」
ゆっこがクラスの一軍だとしたら、えれなは学年の一軍って感じか? 聞いたところに拠ると高校生のときは読モをやっていて、卒業と同時に上京するならマジもんのモデルとして契約するって言われたんだよな。
東京に一人で出ていくのが嫌だったのがあってその話は断って、読モやっていて興味を持った服飾系の専門学校に進学したとかなんとか。
「頑張っていてすごいな、とは思うよ」
「アンタはなんの話をしているの?」
「え? えれなの話だけど……」
「もういいわ。ウチもその遊びについていく!」
「え? なんで?」
「なんでもっ!」
「お前、翌日の日曜日は柳井の試合があるから朝から応援に繰り出すんだってワクワクしてたじゃん。前の日の夜に遊んでいて大丈夫なのか?」
「うっ……。あ、アンタよりカオルくんよね……」
柳井は2年生なのに3年生を差し置いてレギュラーなんだって千春が自慢していた。頬を赤らめて話す千春にお前かんけーないじゃんとは言えなかった。
今週になって千春はずっと柳井の話ばかりしていたので、知りたくもないのに柳井通になってしまいそうだよ。
嘘です。
興味ないので、馬耳東風よろしく千春の話は右から左へと抜けて行っています。
それでも1年生の頃からどれだけ活躍してきたかぐらいは記憶に残っちまったけどな。ほんと要らない情報。
それを聞くに、優希の旦那はとんでもないイケメンだったんだと改めて驚いたし、そんなメンズと優希の相性が一番いいと言うことに一抹の寂しさも感じ……寂しい?
はて?
優希が誰とくっつこうと俺には関係ないけど、やっぱ幼馴染だしちょっとお父さんというかお兄ちゃん目線になってしまうのだろうな。
「なんとも不思議な感情だな」
「ぶつぶつぶつぶつ………よしっ、やっぱりウチもアンタについていくことにした!」
一人でブツブツ言っていた千春が高々と宣言した。
「俺としちゃお前が付いてくるのに問題ないんだけど、ゆっことえれなにも聞かなきゃだぞ?」
「わかってる。駄目って言われたら黙って後ろから付いていくだけにする」
どのみち付いてくるのね。
メッセージを飛ばすとすぐに既読が付いてあっという間に返信があった。
『あたしらもゆっきーのお嫁ちゃんに興味津々! 大歓迎だぞ~』
だとさ。なんだか俺一人ダメージ負いそうで嫌なんだけどな……。
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