#2
『ありがとうございます。今回ですが、
隠喩じみた
あなたののぞみのぜんぶをかならずわたしはかなえてあげたかった。
どんなにちいさなかけらであってもあなたがいるならかならずみつけたかった。
わたしに知れない夕景に、たたずむあなたのてのひらの、熱、温度のなによりも、なにものにだってかえがたくいまだってつづかないでいない。
書きつくせないで泣いてなんなのっていつにだってわらってほしかった。
こたえないでどうせなんてすてるふうにこぼして、かすめもさせないつたえもしないでなんでなんてわたしだけを残さ──
『戻って』
鉄筆。
甲に神経は無い。
視覚だけで足りた。
貫通した箇所は靄のような瞬きにおおわれ、数秒のちには完全に修正されていた。
はじめてだった。
『おかえりなさい』
呑まれた。
記述の途上、わたしがわたしになりえない、ぼやけた時間の溢れだして不意に毀れた。
聞いてはいた。
前任も、その前任もそのまた前任も、ただのひとりの例外もなくそうして散佚したと。
『こわかった』
わたしはねこをなでると、色の抜けた液体をあおった。
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