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「私、しずくさんの絵を初めて見たとき、なんて思いの溢れる絵なんだろうって思いました。なんて力のある絵なんだろうって、そう思いました」のぞみは言った。

 あるいは私はなんて子供だったんだろう。この絵を描いた人はすごく大人なんだろうって思いました。

 とのぞみは思った。

 実際はそんなことなかったんだけど。


 紅葉はさらに色を強くした。見上げる空は青。冷たいと感じるようになった風はもうすぐやってくる冬のことを思わせる。

 下を向くと土色の道の上は落ち葉でいっぱいになっていた。歩くたびに、落ち葉が踏まれて音を立てる。

「僕の絵はめぐみと出会ってから変わったんだ。めぐみは僕に本当にたくさんのことを教えてくれた。運命の人と出会う奇跡。距離を縮めて行く日々。誰かを愛すると言うこと。その人と一緒に生きる喜び。自分自身の変化。知らなかったずっと心の奥にある不思議な感情。そしてそんな人と別れる悲しみ。死というもの。生きると言うこと。そんなことをめぐみは僕に教えてくれた」と歩きながらしずくは言った。

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