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「めぐみさんがしずくさんの絵を変えたんですね。ううん。絵だけじゃなくてしずくさん自身を変えてしまった」のぞみは言う。
「めぐみさんはすごいひとですね」と言葉の最後に加えてのぞみは言う。
「そんなことはないよ。めぐみはすごくない。どこにでもいる普通の女の子だった。すごくと言うのなら君のほうが遥かにすごい。世界中の人たちをファンにしているんだからね。それはもちろん誰にでもできることじゃない」としずくは言う。
のぞみはしずくと一緒に森の奥にまでやってきた。あまりきたことのない場所だった。こんな場所まで足を伸ばしたのは、今日はすこしだけ遠くまで森の中を散歩したいとのぞみがそう言ったからだった。
「でもめぐみさんはしずくさんを変えました。それは私にはできないことです」とのぞみは言った。
「めぐみは特別な人だった。世界でただ一人。僕にとってはね」と小さく笑ってしずくは言った。
その言葉を聞いて、やっぱり羨ましい、とのぞみは思った。
しずくはちっとものぞみのことを見てくれなかった。しずくが見ているのはいつもめぐみだけだった。
だから、このときしずくが自分のことをちゃんと見てくれるようになるまで、のぞみはしずくの家を訪ねることを絶対にやめないようにしよう、と心に決めた。
今のところ、しずくはのぞみのことを全然、ちっとも、ちゃんとはみてはくれなかったのだけど、それでも別にいいと思った。
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