42

 焦ることはない。じっくりといこう。ゆっくりと歩こう。

 そんなことをのぞみは自分に言い聞かせていた。そういうつもりで髪を短くしたわけではなかったのだけど、髪を思い切って短くしたことはのぞみの周囲の人たちにとても好評だった。

 事務所の人たちは復帰する際にビジュアルに変化があるのはとてもいいことだと言ってくれたし、復帰の際に今までにない新しく生まれ変わったのぞみのことを世界の人たちに知ってもらえるチャンスだと言った。

 今もいてくれるのぞみのファンも決して今ののぞみを受け入れてくれないと言うことはないだろうと言った。

 のぞみがその話をしずくにすると「それはきっとその通りになると思う」とのぞみに言った。

「その根拠はなんですか?」のぞみは言う。

「この絵かな?」

 しずくはそう言って、今描いてる短い髪ののぞみの絵を見せてくれた。その絵の中にいる自分の姿を見て、のぞみはとても驚いた。そんなのぞみのことを見て、しずくはにっこりと楽しそうな顔で笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る